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【ヒューリック】日本ビューホテルを子会社化し「観光」強化へ

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銀行店舗跡地に第1号の直営ホテル

ヒューリックは2012年8月、自前ホテルの第1号として東京・浅草に「ザ・ゲートホテル雷門」(136室)をオープンした。ホテル事業に参入するには理由があった。それを知るカギは同社のルーツと関係する。

ヒューリックは旧富士銀行(現みずほ銀行)の店舗ビルを管理する会社として1957年に、日本橋興業の社名でスタートした。銀行の支店が入るビルは大半が駅前の一等地で、収益は安定している。

同社を取り巻く事情が一変したのはバブル崩壊後の金融再編。富士銀行は2000年、第一勧業銀行、日本興業銀行と経営統合した。

実は、ザ・ゲートホテル雷門がある場所は旧富士銀行の店舗跡地。3行統合で雷門支店が閉鎖されることになり、跡地利用として浮上したのがホテルだったのだ。観光地の浅草という立地上、無理からぬ選択でもあった。ホテルの運営ノウハウを蓄積するため、直営にしたという。

「ザ・ゲートホテル雷門」(東京・浅草)

「あの駅。この駅。見上げれば、そこに」。キャッチフレーズの通り、ヒューリックは都心・駅近の賃貸オフィスを中心に197の不動産物件を保有する(19年3月末)。半数以上の101物件は高賃料の都心5区(中央、千代田、港、新宿、渋谷)に集中する。都心を含む全物件の空室率も1%以下を維持する。これらの要因が高収益を生む原動力になっている。

2018年12月期業績をみると、売上高0.7%減の2875億円、営業利益17.6%増の755億円。不動産準大手の東急不動産ホールディングス(HD)、野村不動産ホールディングスと比べ、売上高で3倍から2倍以上の開きがあるものの、営業利益ではほぼ肩を並べる。

「3K」で非オフィスを50%に拡大へ

現在、全売上高の66%がオフィス(一般オフィス47%、銀行店舗19%)部門だが、今後の方向として商業施設や高齢者施設、ホテルなど非オフィス部門の比率を50%程度に高めるのが目標だ。

そのキーワードは「3K」。高齢者・健康、観光、環境の3つ頭文字から命名した。

最初の「K」では老人ホームなど高齢者施設を30棟(開発中を一部含む)保有するほか、病院や納骨堂の開発で実績を積んでいる。フィットネスクラブも2020年、都内でオープンの予定だ。

環境ではエネルギーや農業が柱。大規模太陽光発電所が福島県広野町で稼働し、今後、小水力発電の具体化などを検討している。山梨県やベトナムでは施設園芸に乗り出した。

残る「K」が観光。年々増加する訪日観光客や団塊世代のリタイアによる旅行ニーズを取り込む狙いだ。自社ブランドによるホテル運営を行うほか、既存ホテルへの投資や高級旅館の取得を活発化している。

この6月には、3年前に底地を取得した「グランドニッコー東京 台場」(882室)の建物を追加取得した。これで都内有数の大型シティーホテルを丸ごと手中にした形だ。同ホテルは旧ホテルグランパシフィックLE DAIBAで、現在、オークラニッコーホテルマネジメントが運営する。

沿革と主なM&A
1957 日本橋興業として東京都中央区に設立
2000 小舟町Fビル(現ヒューリック小舟町ビル)など15ビルを保有するフォワードビルディングを合併
2007 ヒューリックに社名を変更
2008 東証1部上場
2010 不動産賃貸会社の千秋商事、芙蓉総合開発を合併
2011 ヒューリックホテルマネジメントを設立
 〃 千秋オフィスサービス(現ヒューリックオフィスサービス)を子会社化
2012 英ロンドンに現地法人を設立
 〃 不動産業の昭栄(東証1部)と合併
 〃 ザ・ゲートホテル雷門 (東京・浅草)を開業
2015 不動産投資会社のシンプレクス・インベストメント・アドバイザースを吸収合併
病院経営支援のキャピタルメディカと資本・業務提携
2016 グランドニッコー東京台場(旧ホテルグランパシフィックLE DAIBA)の底地を取得
2018 KHリゾートマネジメント(現ヒューリックふふ)を子会社化
 〃 ホテル日航金沢を経営するモス、同ホテルが入居する建物を管理するポルテ金沢の両社を子会社化
 〃 人材派遣子会社のアヴァンティスタッフをパーソルホールディングスに譲渡
2019
(6月)日本ビューホテルを株式交換で子会社化すると発表
(6月)グランドニッコー東京台場の建物を追加取得

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