最近、「買収」の2文字をニュースでよく目にします。M&Aの世界でホットな話題となっているのが外食大手、コロワイドが定食専門店を展開する大戸屋ホールディングスの買収に乗り出した一件。もう一つ、河井克行前法相夫妻(自民党を離党)が選挙違反に問われた買収事件は政界を揺るがせています。

同じ「買収」でも日本語の意味は二通りありそうです。そんな「買収」にスポットを当ててみました。

選挙での買収は違法行為

手元にある国語辞典で「買収」を調べてみます。①買い取ること、②金品などを相手に与えて味方にし、自分に有利になるように取りはからわせること、とあります(「新明解 国語辞典第」4版、三省堂)。企業買収などの際に使わるのが①の意味。用地を買収するというのも同じ使い方です。

②の意味は早い話、袖の下を渡すこと。人目につかないように内密に金品を贈ることで、便宜を図ってもらう思惑が込められています。河井夫妻のケースは昨年の参院選をめぐって、地元議員ら約100人に票のとりまとめを依頼して3000万円近い現金を配ったとされ、公職選挙法違反の罪で7月8日に起訴されました。河井夫妻は買収の意図を否定しており、法廷で白黒を争うこととなりました。

前法務大臣夫妻が大型買収事件で起訴された…(写真は東京・永田町の国会議事堂)

M&A、敵対的買収に発展するケースも

話は戻りますが、M&Aは今や経済ニュースの定番メニューの一つで、合併・買収と訳されます。Merger(合併)とAcquisition(買収) の頭文字です。複数の企業が一つになるのが合併であるのに対し、相手企業の株式を取得して子会社にしたり、欲しい事業(部門)だけを手に入れたりするのが買収です。

コロワイドは、「大戸屋ごはん処」を展開する大戸屋ホールディングスの子会社化を目指して、7月10日にTOB(株式公開買い付け)を始めました。コロワイドは約19%を所有する筆頭株主ですが、TOBで大戸屋株式およそ32%を追加取得し、所有割合を51%強に高め、経営の支配権を得ようというもので、買収そのものです。

企業買収の分野では、買い占め(Buyout)、乗っ取り(Takeover)といった言葉がありますが、こちらは敵対的なニュアンスを多分に含みます。大部分の企業買収は双方の同意に基づき友好的に行われますが、コロワイドのケースは大戸屋側が子会社化に反対して敵対的買収に発展する可能性が高く、成り行きが注目されています。

文:M&A Online編集部