事業承継をする際に、顧問税理士が相続税をどのように計算するのかざっくり知りたいという方も多いのではないでしょうか。本記事では、相続税評価についてわかりやすく解説します。

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相続税とは

 相続税は、個人(相続人)が被相続人から相続や贈与などによって財産を取得した場合に、その取得した財産(以下、「相続財産」といいます)について課される税金です。

 相続人は金銭を支払うことなく財産を無償で取得しているので、相続税の計算にあたって、相続財産を金銭的価値に見積もる必要があります。これを「財産評価」と呼びます。

 相続財産で預貯金などの金融資産を保有している場合には、時価と相続税評価額に乖離はほとんどありません。それに対して、土地や非上場株式を保有している場合には、すぐに換金することが難しい場合が多く、時価と相続税評価額の乖離があります。その分、相続税は減少しますが、納税資金の確保が課題となります。

 財産評価に関して相続税法は、地上権、永小作権、定期金に関する権利等の特定の財産について評価方法を規定しているのみです。それら以外の財産評価については、時価による旨が規定され、時価の内容は法律の解釈に委ねられています。

 事業承継を検討される方は将来に備えて、まずは相続税を試算しておかれることをおすすめします。

相続財産の評価はどうする

 実務では、相続財産を「財産評価基本通達」に基づいて評価することになります。その場合、主な相続財産の相続税評価は次のとおりです。

1.預貯金

 原則として、相続開始日現在の預入残高と、相続開始日現在において解約するとした場合に支払われる既経過利子の額との合計額により評価します。ただし、定期預金、定期郵便貯金及び定額郵便貯金以外の預貯金については、相続開始の日現在の既経過利子の額が少額なものに限り、相続開始日現在の預入残高で評価します。金融機関で残高証明書をとるなどして確認します。

2.上場株式

 原則として、次のイからニまでの金額のうち、最も低い金額で評価します。

イ 相続開始日の終値
ロ 相続開始月の毎日の終値の月平均額
ハ 相続開始月の前月の毎日の終値の月平均額
ニ 相続開始月の前々月の毎日の終値の月平均額

終値等は、証券取引所のホームページなどで確認できます。
(例)東京証券取引所HP https://www.jpx.co.jp/markets/

3.取引相場のない株式

 非上場株式には上場株式のように証券市場の時価が存在しないので、原則として、その会社の規模の大小や株主の態様、資産の構成割合などに応じて、次のような方式により評価します。

(1) 類似業種比準方式
(2) 純資産価額方式
(3) (1)と(2)の併用方式
(4) 配当還元方式

 ただし、土地や株式を多く持っている会社や開業してすぐの会社については、特別の評価方式が定められています。また、事業承継税制の要件を満たしている場合には、相続税・贈与税が猶予または免除されます。

4.土地(宅地)

 路線価が定められているところは、路線価方式により評価します。路線価の定めがないところは、倍率方式により評価します。計算方法は簡単にいうと、以下のとおりです。

【路線価方式】
路線価※1 ×各種補正率×面積

【倍率方式】
固定資産税評価額 ※2 × 倍率 ※1

※1 路線価と倍率は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」(http://www.rosenka.nta.go.jp/)で住所を検索することで確認できます。
※2 固定資産税評価額は、通常、市区町村から送られてくる固定資産税の納税通知書に記載されています。

 なお、建物を貸していたり、小規模宅地等の特例の適用がある場合、さらに相続税評価が安くなるときがあります。

4.建物

 原則として、建物の固定資産税評価額により評価します。

参考URL
●国税庁「相続税のあらまし」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sozoku-tokushu/souzoku-aramashih30.pdf
●税務大学講本 相続税法(平成30年度版)
http://www.nta.go.jp/about/org...

文:藤本 江里子(税理士・中小企業診断士)