議決権行使助言会社とはどんな会社?

議決権行使助言会社とは、機関投資家などが保有している銘柄の議決権行使に関する助言をおこなう会社のことです。

国内大手機関投資家では社内に議決権行使担当者がいますが、海外の機関投資家や小さな運用会社は、議決権行使の専任者を置く余裕がない場合が多くなっています。

しかし議決権行使助言会社を利用すれば、機関投資家は投資先企業の議案をいちいち精査しなくてすみます。忙しい機関投資家に代わって、どのような議決権行使をすれば株主にとって有利なのかをアドバイスしてくれるからです。

議決権行使助言会社の大手は、米国のISS(インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ)とグラスルイスです。この2社でシェアの9割を占め、寡占状態になっています。

議決権行使助言会社のアドバイスの成果は?

外国人投資家は日本株の約3割を保有していますが、議決権行使助言会社の判断はその過半に影響を与えるとも言われています。ただ、議決権行使助言会社は議案ごとに賛否をアドバイスしますが、その成果はまちまちです。

2010年3月のサッポロホールディングスの株主総会で、ISSとグラスルイスの2社が、スティール・パートナーズの株主提案に賛成するよう呼びかけたにもかかわらず、同提案は否決されました。

しかし、日本の機関投資家でも利用する例が増えています。2017年にはみずほフィナンシャルグループの運用会社アセットマネジメントOneが、みずほフィナンシャルグループの株主総会で議決権行使助言会社の判断に従いました。

役員報酬の個別開示など複数の株主提案について、みずほフィナンシャルグループの経営陣が反対したのにもかかわらず、賛成票を投じたのです。

議決権に対する助言をおこなうには、議決権行使助言会社の情報が開示され、利益相反などがないことを明らかにするべきですが、議決権行使助言会社の多くは情報開示が不十分です。また、大手のISSでも日本企業の議案を分析するのは数人に過ぎません。議決権行使の方針にある数値基準などを機械的に適用しすぎているとの批判もあるのです。

しかし金融庁は、機関投資家の行動指針である「スチュワードシップ・コード」改定にむけた有識者会議で、議決権行使助言会社向けの項目を増やす改定案を示しました。

議決権行使会社はM&Aに影響はあるか

株式保有比率が3分の1を超えると、株主総会で3分の2以上の合意が必要なM&A、定款変更、取締役や監査役の解任などの特別決議が必要な議案を阻止できるようになります。

そして、株式保有比率が50%以上になると、株主総会の普通決議が可能になり、会社の経営権を取得したとみなされます。仮に経営陣と対立した場合は、株主総会での多数決で議案を決めます。これが委任状争奪戦(プロキシーファイト)です。

プロキシーファイトが起こった場合、議決権行使助言会社がどういった意見を出すかによって、機関投資家の議決権行使が大きく左右される場合があります。

M&Aのときに黒子的な役割を果たす重要な国内企業が、株式会社アイ・アール ジャパンです。同社は、M&Aの際に国内外の株主判明調査や買収防衛コンサルティング、プロキシーファイトのサポートなど幅広いサービスをおこなっています。

スティール・パートナーズによるブルドックソースへの敵対的TOBではブルドックソースを支援、楽天によるTBSへの株主提案ではTBSを支援するなど、有名なプロキシーファイトで依頼会社の勝利を勝ち取った実績があるのです。

文:M&A Online編集部