日本中で増えている現象

 実際に私のクライアントで幾つもある事例のお話しをします。老舗の独自技術を持っている企業で、財務体質も良く、業績も堅調な企業でも、後継者がいないと「廃業」という選択肢が現実味を帯びてきます。恐らくこれは、日本中でこれからも増えていくでしょう。この場合、通常考えられる選択肢としては、

①後継者を育成する
②企業をどこかにM&Aしてもらう
③廃業する

ーくらいでしょう。 

もう一つの選択肢

 しかし、ここにもう一つの選択肢があります。「次世代の後継者を会社ごとスカウトする」という選択肢です。もちろん、できることであれば自社内で後継者候補を見つけるというのが最優先かつ自然です。しかし、ここではそもそも、その自社内での後継者がいないという事例のお話しですから、まず冒頭の選択肢の1番は無いとします。

 すると2番目の選択肢として、どこか自社をM&Aしてくれる企業を探すことになります。この時、多くの社長さんが考えるのは「自社の従業員達がかわいそうだ」ということです。

 それは正にその通りで、今まで永年、苦楽を共にしてきた従業員の人達を、いきなり違うオーナーや代表者の下で働く環境に置くわけですから、その心情は察して余り有ります。しかしここでは、とりあえずその問題をクリアして、自社をどこかに吸収合併してもらう決断をしたとしましょう。

 すると次に問題となるのは、自社の株価、または、事業の価格です。冒頭の前提条件のように、老舗の独自技術を持つ企業で、財務体質も良く、業績も堅調な企業の場合、どうしてもその株価は高くなります。もしもここで常識外れの低価格でM&Aを完遂した場合、予期せぬ多額の課税が生じる可能性もあります。

 となると、老舗の優良企業であればあるほど、その会社をM&Aできる会社の数が限られてくることになります。するとそこで話しはとん挫し、廃業せざるをえなくなるかも知れません。