最適な税務ストラクチャリングは、状況によって変化するものだ。そのため、例えば一概に組織再編を適格再編に該当させることができればよいというわけではない点に留意する必要がある。
適格合併に該当する場合は譲渡損益からの課税は生じないものの、みなし共同事業要件を満たさない場合、被合併法人だけでなく、合併法人の支配関係発生日以前の欠損金も切り捨てられてしまう。そのため、親会社が欠損金を多額に保有している場合は、あえて非適格組織再再編を選択することで親会社の欠損金が切り捨てられないようにする方が税務メリットが大きい場合も考えられる。
このように税務ストラクチャリングは、どのようなスキームを採用すれば最も税務メリットを享受することができるかどうかを、その時々の状況に応じて考案する必要があり、また、スキームによっては税務署から否認されてしまうリスクもあるため、そのあたりのリスクコントロールに細心の注意を払う必要もある非常に難易度の高い業務でもあるのだ。
文:M&A Online編集部
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