M&Aを行うと子会社の数が増えていくことが考えられます。親会社が上場会社などで監査法人の会計監査を受けている場合、子会社を含めたグループ全体の連結財務諸表が監査対象となります。

連結グループが親会社と重要な子会社1社から構成されている場合、おそらく、その子会社は監査の対象とされるでしょう。これに対して、連結財務諸表のほとんどが親会社の数値で占められている場合や子会社が何十社あるいは何百社にも及ぶような場合には、おのずと監査の対象となる子会社と監査の対象から外れる子会社が出てきます。

監査法人あるいは公認会計士は監査対象とする連結子会社をどのように選定しているのでしょうか。今回はその判断のプロセスをのぞいてみたいと思います。

「構成単位」という考え方

公認会計士が監査にやってくる会社に勤務している方ならご存じかもしれませんが、公認会計士は帳簿上の数字ばかり見ている訳ではありません。全国の営業所や工場、店舗などを見て回ったり、在庫の実地棚卸に立ち会って試験的に材料や商品を数えてみたり、小口現金や受取手形、建物や機械などの固定資産の現物を実査したりしています。

こうした検証作業もすべては有価証券報告書などに記載される財務情報が正しいことを確かめることが目的です。そのため、子会社も連結財務諸表という財務情報を構成する単位と見られます。少し味気ない表現ではありますが、監査で「構成単位」といえば、ほぼ子会社のことを指していると考えればよいでしょう。

日本公認会計士協会が公表している監査基準委員会報告書(監基報)600「グループ監査」という監査実務上の指針では、例えば、重要な構成単位には監査を行いなさい、重要でない構成単位にはグループ・レベルの分析的手続を行いなさいと記載されています。もちろん、諸々の条件に応じて例外があります。

公認会計士がいう重要性とは

重要な構成単位という用語が出てきましたが、そもそも何をもって重要というのでしょうか。先ほどの監基報600では「(1)グループに対する個別の財務的重要性を有する」と「(2)特定の性質又は状況により、グループ財務諸表に係る特別な検討を必要とするリスクが含まれる可能性がある」という2つの場合を挙げています。

これらに該当すると重要な構成単位となります。(1)は量的な重要性、(2)は質的な重要性といえそうです。(1)の量的な重要性では、例えば、ある構成単位の売上高(あるいは総資産、利益など)がグループ全体の売上高(あるいは総資産、利益など)の何パーセント以上とするのが一般的です。この指標やパーセンテージは各監査法人が監査マニュアルなどで定めています。

(2)の質的な重要性は、構成単位で非経常的な取引を行っていたり、誤りやすい項目が含まれていたりする場合が該当します。「あの子会社は怪しいから対象にしよう」というような判断もこれに類するものといえます。