リーマンショックによる影響がひと段落した2011年以来、国内におけるM&Aの件数とは増加の一途をたどっている。M&Aを実行する際は、規模にもよるが、FA(フィナンシャルアドバイザー)の選定、当事者間の交渉、デュー・ディリジェンス、基本合意の締結等々…実に様々な手続きや調査に時間と労力をかけることが求められるが、その中の実施すべき調査の一つとして、「税務ストラクチャンリグ」というものが存在する。今回はそんな税務ストラクチャリングについて、主に組織再編税制の観点から解説していく。

M&Aのスキームによって税務コストも変わる

法人税法の世界では、同じ経済的実体をもたらす結果となる取引であっても、どのようなスキームで取引を実施するかによって課税関係が変わるようになっている。 

例えば、A社がX事業をB社へ切り離す取引が行われるとしよう。この場合、事業譲渡もしくは会社分割を行うことが考えられる。どちらの形式を採った場合でも、X事業がB社へ移転するという経済的実体には変わりないのだが、事業譲渡の場合はX事業の譲渡益に対して課税が行われるのに対して、会社分割の場合は特定の要件を満たせば譲渡益が非課税となったり、事業譲渡の場合は多くの場合、発生する消費税や不動産取得税などが会社分割だと発生しなかったり、様々な違いが生じる。

そのため、M&A実施後の税務コストを最も圧縮することができ、売手の売却益課税を少しでも減少させることができるようなスキームを検討する「税務ストラクチャリング」が必要となってくるのだ。