連結納税はうまく使えば大きな税務メリットをもたらす一方で、条件の見落としなどにより思わぬ不利益が生じる危険性も秘めています。今回は、連結納税の成功パターン、失敗パターンという事例形式で、その両方の側面に迫ってみましょう。

■連結納税の成功事例

〇事例1(繰越欠損金が切り捨てになってもメリットがあった例)

A社グループでは、慢性的に赤字を計上している子会社B社と所得を通算することによる税務メリットを考え、連結納税を導入することにつき取締役会で決議しました。

B社は最近5年以内にM&A(現金を対価とした株式取得)を通じて100%子会社となったため、B社が有する繰越欠損金は切り捨てとなりますが、それは想定した上で連結納税を開始しました。

結果的に、その後、数年にわたり赤字体質が続いたため、通算によるメリットを十分に享受することができました。なお、B社が保有していた土地には若干の含み損が生じていたため、連結納税を開始する直前の事業年度末で時価評価が行われました。

仮に、B社の土地に大きな含み損がある場合は、その節税メリットを活かすため、5年経過後に連結納税を行った方が有利になる可能性もあります。また、逆に、土地に大きな含み益がある場合は、B社の単体最終年度で課税が生じることも考えられるため、慎重な判断が求められます。

〇事例2(子法人株式の簿価修正を見込んだタックス・プランニングが奏功した例)

C社(連結親法人)グループでは、すでに10年前から連結納税を適用しています。この度、C社では不採算事業を抱えるD社(連結子法人)をグループ外の第三者に1億円で譲渡することを決定しました。

親法人C社の貸借対照表上ではD社株式の簿価は1億8,000万円となっています。一見すると、株式譲渡時に8,000万円の売却損が発生しそうですが、税務上は、これまで連結納税を適用してきた期間におけるD社の利益積立金額の変動を投資簿価の修正として反映させる必要があります。

C社の試算ではD社株式の税務上の簿価は4,000万円にまで下がっており、6,000万円の譲渡益課税が生じることを見込んでいました。そこで、C社グループでは6,000万円程度の含み損のある賃貸不動産の売却を同じ事業年度に行うというタックス・プランニングを行いました。

結果としては、試算どおりにD社株式の税務上の譲渡益と賃貸不動産の売却損が発生したため、この事業年度における法人税等の支払を抑えることができました。