シリーズ中小企業経営・事業承継に活用したい手法 その9
-「平成29年度税制改正で大きく変わった事業承継税制-3」

シリーズ事業承継の活用手法として、中小企業の事業承継や 財産の分散防止に効果的な信託などを解説しています。今回は平成29年度税制改正において、非上場株式の評価方法が大きく変わりました。
株価が“67%”も上昇する事例が頻発しています。「平成29年税制改正における事業承継税制の改正とその対応策」をお伝えしていますが今回は第3回です。

(1)非上場株式の評価方法の変更~利益係数の変更の影響
(2)非上場株式の評価方法の変更~評価区分の変更の影響
(3)事業承継税制と相続時精算課税制度が併用可能に

前回までは、非上場株式の評価は 配当:利益:簿価純資産を一定割合で評価しており従来は 1:3:1で評価していましたが改正後は1:1:1で評価します。
利益の比重が少なくなり、配当と純資産の比重が高くなったと言えます。
「利益が多い会社の株価は安く、純資産の多い会社が高くなる」「利益が減ったり赤字になれば株価は一気に下がる」という手法はどんどん使えなくなり、改正後67%もの大幅な株価上昇となるケースもあることをお伝えし、前回は一方で株価が下がるケースもについてお伝えしました。

上記の非上場株式の評価の見直しとともに、事業承継税制の改正で大きなものがもう一つあります。「相続時精算課税制度と事業承継税制の併用が可能」になった点です。
今までは、納税猶予制度を使った場合、万が一納税猶予制度の対象外となり、適用が取り消された場合、贈与税額を一度に納付する必要がありました。納税猶予を使うくらいですからそれなりに高い株価が“一気に課税”され数千万から数億円もの多額の贈与税を納付しなければならなかったわけです。
「だったら納税猶予なんて使うんじゃなかった!」ということになる可能性がありました。
今回の改正で、相続時精算課税制度との併用が可能となり、万が一納税猶予が取り消されてとしても、相続時精算課税制度で救済されることになったのです!
つまり、納税猶予制度を使い、その後事業承継が万が一失敗したとしても従前のように多額の贈与税を納付するようなことにはならず、何もせずに相続を迎えたのとほぼ同じとなった」といえます。
つまり“やり損・やんなきゃよかったのに”のリスクがなくなったということです。

平成29年度税制改正で、
(1) 事業承継税制は株価に大きな影響があり、一度計算し直す必要がある
(2) 損だしや退職金の支給で株価は従前ほど一気に下がらなくなった
(3) 事業承継税制と相続時精算課税制度の併用が可能になった

上記の点から「小手先の対策は効かなくなったので、長期的な対策をきちんと立案することが不可欠になった!」といえます。
また、平成30年度税制改正では、第三者承継や親族でも直系以外の親族承継について検討されているようですので今後も事業承継税制の変更を注視する必要がありそうです。

次回は「無議決権株式と属人株式の活用」と続く予定です!

本記事は、 メルマガ「ビジネス・ブレイン通信」より転載しております。

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