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協力金を失う飲食店の時短制限解除を居酒屋企業は歓迎できるか?
東京都は10月25日以降、都の認証を受けた飲食店に対して時短要請を解除し、飲食店が酒類の提供時間や営業時間を元通りにできるよう検討を進めています。飲食店にとっては喜ばしいことですが、協力金や助成金を失って業績に影響が出るのも間違いありません。
ワタミはかつて居酒屋和民のブランドイメージが大きく毀損しました。そのときに立ち上げたのがミライザカと鳥メロです。一部店舗の業態転換を図ると、売上が100%を超えて目覚ましい結果が出ました。成果が出た後の転換スピードは速く、2018年3月期は和民からの転換によってミライザカを60店舗、鳥メロを75店舗をオープンしています。焼肉は設備投資が重いため、早期の転換が図れないのは確かです。しかし、これだけスピード感のある会社が大号令をかけた焼肉店の出店が、未だ30に留まっていることを考えると、集客に苦しんでいると考えた方が自然です。
ワタミは駅前の繁華街を中心に出店しています。一方、焼肉きんぐは郊外のロードサイド型が主体です。例えば、名古屋市内の焼肉の和民は名古屋駅、本山駅、東岡崎駅から徒歩圏内に店を構えるビルイン型です。焼肉きんぐの名古屋市内にある4店舗はすべてロードサイド型です。
内閣府地方創生推進室ビッグデータチームは「V-RESAS」で人の移動に関するデータを提供しています。名古屋駅周辺の人通りを見ると、市区町村内の人で2019年の水準を20%、都道府県外の人で40%以下となっている月がほとんどです。駅周辺にはまだ人が戻りきっていません。繁華街立地はまだ不利な状況が続いています。
また、和民ブランドはブラック企業の烙印を押された居酒屋和民のイメージを抜け切れていない可能性もあります。もともとワタミはかみむら牧場という焼肉店を立ち上げていましたが、会長の復帰後にそのノウハウを踏襲する形で焼肉の和民を出店しています。
焼肉の和民が振るわなかった場合、ワタミがとる道は3つあると考えられます。1つは別ブランドの焼肉店で出店を強化する道です。ロードサイド型など、戦略そのものの転換が必要になるかもしれません。その場合は転換ではなく躯体から構築する新規出店となるため、更なる大型の資金調達が必要です。2つ目は回転寿司などの市況が良い別業態を立ち上げることです。3つ目は居酒屋の需要が回復するのを待つことです。ただし、ワタミはすでに120億円もの資金を調達しており、何のアクションも取らないという可能性は低いでしょう。
下期の動きに注目が集まります。
麦とホップ@ビールを飲む理由
東京都は10月25日以降、都の認証を受けた飲食店に対して時短要請を解除し、飲食店が酒類の提供時間や営業時間を元通りにできるよう検討を進めています。飲食店にとっては喜ばしいことですが、協力金や助成金を失って業績に影響が出るのも間違いありません。