赤字転落のルノアール、粘る椿屋と圧勝するコメダ、その差はどこに?

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ルノアールの赤字は12年ぶり

銀座ルノアール<9853>が、2021年3月期で純損失21億2,000万円を計上する見込みとなり、12年ぶりの赤字転落となります。売上高は前期比49.0%減の41億円。ルノアールは繁華街立地を中心にフルサービス型のカフェを出店しており、テレワークの推進や外出自粛で客数が激減。八重洲北口店や千駄ヶ谷店など、不採算店の閉店も進めています。

同じくフルサービス型のカフェ「椿屋珈琲」を運営する東和フードサービス<3329>は、2021年4月期は1億6,000万円の純利益を見込んでいるものの、営業損失は1億5,000万円となりそうです。売上高は前期比16.9%減の85億円。1月の既存店売上は50%となり、新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言の再発動で本業の稼ぎは厳しい状況に追い込まれています。

一方、フルサービス型で圧倒的な強さを見せつけているのがコメダホールディングス<3543>。通期の売上高を前期比11.6%減に留めて276億円での着地となりそうです。営業利益は32.3%減の53億3,000万円、純利益は33.7%減の35億7,000万円と苦境下でもしっかり利益を出しています。

この差はどこに起因するものなのでしょうか。この記事では以下の情報が得られます。

・ルノアール、椿屋珈琲、コメダ珈琲のビジネスモデルの違い
・各社の業績
・新常態で強さを発揮するカフェとは

直営店主体のカフェは家賃・人件費が重荷

コメダ珈琲
FC主軸の独自戦略をとるコメダ珈琲

ルノアールは関東地区を重点エリアとし、駅からやや離れた二等地、三等地と呼ばれる場所に出店しているのが特徴です。これは客数・売上だけでなく、入居保証金や家賃を加味した採算性を重視しているため。ルノアールは「受取保証金」という立退料で利益を出していることで有名ですが、ビジネスモデルにそれが盛り込んであります。

ルノアールの店舗数は直営112店舗。FCはありません。中高年の会社員がターゲットとなっています。

東和フードサービスはパチンコ店運営の東和産業(港区)から、フードサービス部門をカーブアウトしてできた会社です。主力は「椿屋珈琲」ですが、「ダッキーダック」や「スパゲッティ食堂ドナ」なども運営しています。「椿屋珈琲」は48店舗で、そのほかの店舗を合計すると116店舗となります。FCはありません。2020年9月に柏高島屋に「銀座和館椿屋珈琲」を出店しました。繁華街、商業施設への出店を得意としています。会社員、買い物客、カップル、ファミリーなど、ターゲットの幅が広くなっています。

「コメダ珈琲」は全国でロードサイド、商業施設、繁華街など様々な場所に出店しています。コメダの繁華街店舗も駅から離れた場所やビルの2階などに出店することが多いですが、ルノアールとは戦略が異なります。コメダの国内店舗875店舗のうち、直営店はわずか30店舗。95%以上がFC加盟店です。すなわち、家賃の安い場所を選んでいるのは、FCオーナーの家賃負担が重くなって店舗運営ができなくなることを防ぐためなのです。

コメダはシニア層やファミリーを主なターゲットとしています。商品開発力が強く、シロノワールやモーニングなどのいわゆるキラーコンテンツを提供し、不利な出店場所でも客を引き付けていることに特徴があります。

各社の通期の業績予想を見てみます。

■通期業績予想

売上高 営業利益 純利益
ルノアール(2021年3月期) 41億円(49.0%減) △19億2,700万円 △21億2,000万円
東和フードサービス(2021年4月期) 85億円(16.9%減) △1億5,000万円 1億6,000万円(42.7%減)
コメダ珈琲(2021年2月期) 276億円(11.6%減) 53億3,000万円(32.3%減) 35億7,000万円(33.5%減)

決算短信より筆者作成

都内集中型のルノアールの売上減少が目立ちます。八重洲、千駄ヶ谷、渋谷などの主力店舗が閉店となりました。2020年は6店舗を退店しています。テレワークの推進による喫茶店での時間待ちの減少、打ち合わせのテレビ電話化が進み、ルノアールが得意としていた領域が消失しています。緊急事態宣言後にこの需要が完全回復するとは考えづらく、長期的な売上減に悩まされるものと考えられます。

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