原材料高が原因? 牛丼「松屋」の営業赤字が深刻な理由

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松屋 鹿島田店

松屋フーズホールディングス<9887>が2022年3月期第2四半期に21億3,600万円の営業損失を計上しました。18億9,800万円の経常利益を出していますが、これは営業時間の短縮などによる助成金38億7,700万円を得たことが影響しています。売上高は前期比0.5%増となっているものの、新型コロナウイルス感染拡大、緊急事態宣言の影響を真正面から受けた2021年3月期の売上高は前期比13.7%の減少でした。松屋は稼ぐ力が戻っておらず、競合他社と比較して事態は深刻と言えます。

この記事では以下の情報が得られます。

・松屋、吉野家の業績比較
・牛丼店の集客状況
・松屋10月の値上げ効果

変動費よりも固定費が収益を圧迫している松屋

松屋は2021年10月末時点で牛丼店を969(81.6%)、とんかつ店を190(16.0%)、その他の業態を29(2.4%)店舗運営しています。はなまる(東京都中央区)を傘下に収めた吉野家ホールディングス<9861>や、ジョリーパスタ<9899>を子会社化しているゼンショーホールディングス<7550>と異なり、ほぼ牛丼の単一セグメントで構成されている点がポイントです。

松屋と吉野家の通期と第2四半期の業績を比較します。松屋は2021年3月期、2022年3月期第2四半期ともに営業赤字に陥っています。通期と比較すると2022年3月期第2四半期は原価率が1.3ポイント、販管費率も1.7ポイント悪化しています。

■松屋フーズホールディングスの業績(単位:百万円)

2021年3月期 2022年3月期第2四半期
売上高 94,410 45,173
前期比 88.6% 100.5%
営業利益 -1,683 -2,136
原価 31,743 15,751
販管費 64,350 31,558
原価率 33.6% 34.9%
販管費率 68.2% 69.9%

決算短信より筆者作成

■吉野家ホールディングスの業績(単位:百万円)

2021年2月期 2022年2月期第2四半期
売上高 170,348 74,829
前期比 78.8% 90.6%
営業利益 -5,335 723
原価 63,286 25,019
販管費 112,397 48,537
原価率 37.2% 33.4%
販管費率 66.0% 64.9%

決算短信より筆者作成

一方、吉野家は2022年2月期第2四半期で7億2,300万円の営業利益を出しています。通期と比較すると2022年2月期第2四半期の原価率は3.8ポイント、販管費率は1.1ポイントそれぞれ改善しています。

吉野家は2021年2月期に売上高が21.2%減、2022年2月期第2四半期の売上高が9.4%減と松屋と比較して大幅に減少しています。これは2020年2月に「ステーキのどん」を運営するアークミール(東京都中央区)を安楽亭<7562>に、2021年4月に京樽(東京都中央区)を「スシロー」のFOOD&LIFE COMPANIES<3563>にそれぞれ売却したためです。

アークミール、京樽の2社は長年吉野家の”重し”となっていた赤字事業で、売却によって売上高は減少したものの、利益が出やすい体質へと変化しています。吉野家の2022年2月期第2四半期の原価率は33.4%で、松屋よりも1.5ポイント低い数字。販管費に至っては松屋よりも5.0ポイント低くなっています。第2四半期ははなまるうどんの売上高が前期比14.8%減となり、15億2,400万円のセグメント損失を計上しています。未だ会社としての業績は本調子と言えないものの、主力の牛丼事業が好調で30億8,300万円のセグメント利益を出しており、全体を牽引したのです。

単一セグメントでありながらも冴えないのが松屋です。赤字に陥った要因として原材料高を挙げていますが、どちらかというと固定費が中心の販管費が収益を圧迫しており、集客に苦心している様子が見てとれます。

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