点心の売上が封じられた井村屋、酒造事業は救世主になるか

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井村屋グループ<2209>の利益が回復してきました。11月1日に2021年3月期第2四半期の業績予想を発表。営業利益を予想比140.7%増の6億2,500万円に、純利益を予想比156.4%増の4億6,100万円に修正しました。主力商品である「あずきバー」の売れ行きが好調で、売上高を予想比0.1%増加したこともありますが、利益率が飛躍的に向上したのは急騰していた小豆価格が落ち着きを取り戻したことです。井村屋は一時利益が押し下げられて窮地に追い込まれましたが、息を吹き返しました。

しかし、井村屋は期待をかけていた点心の売上高の伸び悩みに苦しんでおり、あずきバーに代わる主力商品を打ち出す必要があります。酒蔵を譲受して期待がかかる酒類事業は井村屋の救世主となるでしょうか?この記事では以下の情報が得られます。

・井村屋の業績推移
・小豆価格の推移
・酒事業進出の背景

小豆価格高騰と点心の販売不振のダブルパンチ

井村屋は冷菓以外にも、ようかん類やおしるこなど小豆を原料とした製品を多く扱っています。その他コンビニ向けの肉まん・あんまん、調味料を製造している他、アイスクリーム店「WaiWai」も運営しています。事業は流通事業、調味料事業、その他事業の3つに分かれています。流通事業は全事業の86.2%を占めています。流通事業を更に細分化すると、6つに分割されます。あずきバーの冷菓カテゴリーは全事業の売上高の30%を握っています。

■2021年3月期井村屋事業別売上高と構成比率(単位:百万円)

2021年3月期売上高 構成割合
菓子カテゴリー 4,694 11.1%
食品カテゴリー 7,687 18.2%
デイリーチルドカテゴリー 2,578 6.1%
冷菓カテゴリー 12,630 30.0%
点心・デリカテゴリー 8,381 19.9%
スイーツカテゴリー 351 0.8%
調味料事業 5,611 13.3%
その他事業 216 0.5%

決算短信より筆者作成

新型コロナウイルス感染拡大においては、冷菓に次いで売上高の大きい肉まん・あんまんの販売不振に苦しみました。オフィス街を中心としたコンビニの客足が途絶え、2021年3月期のこのカテゴリーの売上高は前期比13.9%の減少となったのです。井村屋の売上高は2018年3月期に前期比7.3%増となっていますが、これは主に点心の工場を新設して供給能力を高めたことが影響しています。点心は氷菓に次ぐ期待のかかっていた事業でしたが、コロナでそれが封じられました。

■井村屋の業績推移(単位:百万円)

2017年3月期 2018年3月期 2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期
予想
売上高 41,997 45,061 45,108 42,309 42,152 41,000
前期比 108.7% 107.3% 100.1% 93.8% 99.6% 97.3%
営業利益 1,232 1,490 1,413 359 753 1,170
前期比 165.9% 120.9% 94.8% 25.4% 209.7% 155.4%
営業利益率 2.9% 3.3% 3.1% 0.8% 1.8% 2.9%

決算短信より筆者作成

井村屋の営業利益率は2020年3月期に0.8%まで低下しました。2021年3月期に1.8%まで戻りましたが、回復しきってはいません。利益率が低下した背景には小豆価格の急騰がありました。下のグラフは日本銀行の企業物価指数を元にした小豆価格の推移です。2015年を100として、価格がどれくらい変動したかを示しています。

■小豆価格の変動(2015年を100とした場合の推移)

小豆価格
日本銀行「時系列統計データ」より

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暑さの本番を迎える時期である今回は、アイス関連企業の決算内容を概観し、少しでも涼しい気分を味わっていただければと思う。乳製品アイスが主力の森永乳業<2264>、あずきバーなど冷菓が主力の井村屋グループ<2209>、全国で店舗展開するB-Rサーティワンアイスクリーム<2268>という3タイプのアイス関連企業の決算を取り上げたい。