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【中小企業のM&A】弁護士・会計士・税理士など「専門家」の役割とは

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日本商工会議・東京商工会議所が本拠を置くビル(東京・丸の内)

金融機関、群を抜く情報量も「口が軽い」?

⑦金融機関  彼らの一番の役割はもちろん株式買い取りや納税資金調達のための融資である。最近は長引 く低金利の影響によりM&Aや親族内承継などのコンサルティング業務(手数料ビジネス)に も力を入れている。

案件遂行能力については、各種専門家が彼らと提携しているケースが多いことから視ても安心と言えば安心である。ただし、金融機関はもちろん営利企業であ り儲けにつながらない案件(目安としては手数料が1000万円以上)については取り組まないことが多い。

なぜかと言うと、社内規程などにより安価な案件には取組むことが「不可」とされているのだ。ただし、彼らの情報網は今でも群を抜いており、M&Aの相手探しにおいては圧倒的な高パフォーマンスがもたらされることは事実。

もう一つ余談であるが、彼らは典型的なサラリーマンであるがゆえに口が軽いのが玉にきずである。つまり、あまりにも多くの情報を保有しているがゆえに、M&Aにおける情報の秘密保持意識に欠けるこ ところが時々見受けられるに思う(それだけストレスの多い仕事なのでしょう…)。

M&A業務に力を入れる銀行(都内、写真と本文は関係ありません)

⑧商工会議所・商工会 プロパーの社員と各種の専門家がいることを理解した方が良い。M&Aや事業承継に関して言えば、助言、情報提供、専門家の紹介までが彼らの仕事である。また、経営者や後継者育 成に関するセミナーの実施はどの会議所も積極的に取組んでいる。民間コンサルティング会社や士業の専門家と呼ばれる人たちが講師を務めており、勉強の意味合いからは一、二 度は利用してみても損はないと思われる。

支援センターは仲介手数料、原則不要

⑨事業引継ぎ支援センター 公的機関として47都道府県すべてにあり、主にM&Aを扱い、中小・零細企業向けのディールを得意とする。所属している大半が金融機関OBか、公認会計士や司法書士で、本業と掛け持ちで非常勤として勤めている人もいる。

民間のM&A事業会社との一番の違いは手数料の有無。センターを利用すれば仲介手数料は原則必要ない。最近は都市部を中心に数十万円 ~数百万円の手数料が必要となることもあると聞くが、これは各センターが提携し ているM&A事業会社を利用したケース。

公的機関であるため基本的には親切、丁寧な対応であることからもM&A初心者は積極的に利用してみても良いのではなか ろうか。余談であるが、「歴史のある地元の有名店などの引き継ぎ」のような案件を好む傾向 がある。 

以上のようにM&Aや事業承継には様々な専門家がいる。自分にはどれが必要でどれが必要でないかを考えるのは容易ではないかもしれないが、日頃からアンテナを高く張ってみなさんのニーズに合った提案や案件遂行を行ってくれる専門家を見つけて、仲良くしておくことが成約への早道なのかもしれない。

文:Antribe社長・小林伸行(M&A アドバイザー

M&A Online編集部

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