前回に引き続き、行政書士のM&A、事業承継への取り組みを取り上げます。今回は、外国人雇用に絞って、行政書士から見たM&A、事業承継の留意点をまとめました。政府の「未来投資戦略 2018」にあるように、外国人雇用は人手不足解消の切り札として注目されています。事業者にとっての注意点はどこにあるのでしょうか?

在留外国人は過去最高の256万人

2018年3月末時点で、在留外国人数は256万1,848人。前年末比で17万9,026人(7.5%)増加して過去最高となっています。うち、中長期在留者数は約223万人、特別永住者数は約33万人です。事業者として注意したいのは中長期在留者。残留許可に期間などの条件があり、許可されない、更新できないと日本で働くことができなくなるからです。

在留資格そのものは本人の問題ですが、せっかく確保した人材、育成した人材に、より長く戦力として働いてもらうためには、事業者としても心配りが必要となるのです。とくに事業承継、M&A、吸収合併などによる影響を受けないようにしたいものです。

表1:主な国籍別の残留資格者数

国籍残留資格者数前年度比増減
中国730,890人+ 5.1%
韓国450,663人- 0.5%
ベトナム262,405人+31.2%
フィリピン260,553人+ 6.9%
ブラジル 191,362人+ 5.8%
ネパール80,038人+18.6%
インドネシア49,982人+16.6%

(法務省調べ)

さらに、法務省によると、2017年に日本国内の企業などに就職することを目的として、在留資格「技術・人文知識・国際業務」にかかわる在留資格認定証明書の交付を受けた外国人は、前年比16.1%増加、約3万人に達しています。

表2:在留資格別の人数

在留資格残留資格者数前年度比増減(%)
前年度比増減(人数)
永住者74万9,191人+3.0%
+2万2,080人
特別永住者32万9,822人-2.7%-9,128人
留学31万1,505人+12.3%+3万4,174人
技能実習※27万4,233人+20.0%+4万5,645人
高度専門職7,668人+105.1%+3,929人

※技能実習は1号イ,同ロ,2号イ,同ロ,3号イ及び同ロの総数、高度専門職は同1号イ,ロ及びハ並びに同2号の総数。(法務省調べ)

平成30年(2018年)には、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立。新たな在留資格として「特定技能1号」「特定技能2号」が誕生しています。

この改正法は深刻化している中小零細企業の人手不足を補うために、新たに設けられた仕組みです。下記の14の業種からスタートします。

特定産業分野 14業種

1.介護業
2.ビルクリーニング業
3.素形材産業
4.産業機械製造業
5.電気・電子情報関連産業
6.建設業
7.造船・舶用工業
8.自動車整備業
9.航空業
10.宿泊業
11.農業
12.漁業
13.飲食料品製造業
14.外食業

ただし、家族を呼ぶことができないなど厳しい一面もあることなどから、今後の活用状況を見ながら改正されることも予想されています。このような中で、事業を譲渡したら、研修生や外国人従業員はどうなるのでしょうか。一般社団法人コンブリオに所属する申請取次行政書士の立川康夫氏(アキュレイト行政書士事務所)に聞きました。