事業承継、M&Aに関わる仕事で思い浮かぶ税理士や公認会計士などの専門家のうち、いま中小零細企業の相談窓口として注目されているのが、全国に約4万6000人いる行政書士です。行政書士は許認可業務に強いといわれていますが、実際には、事業承継やM&Aにどのように取り組んでいるのでしょうか。

本当に、スムーズに事業を引き継げるか

「現在、数件のM&A案件を抱えています」と、行政書士の樋口直人氏(樋口行政書士法務事務所、東京都台東区、以下発言は同氏)。樋口氏は行政書士など、さまざまなスペシャリスト集団を束ねている一般社団法人コンブリオの代表理事を務めています。

「おそらく行政書士は、顧問先となったお客にとっては比較的相談しやすい存在だと思います」

許認可業務を中心として、「ついで」に軽く経営上の悩みを相談でき、そのなかには相続や事業承継、M&Aといったことも含まれます。

「親族内承継、親族外承継、M&Aといった話になって、最初に皆さんが気にされているのは、引き継いだ後にスムーズに事業を運営できるかどうか、です」

近年、中小企業では経営者の在任期間は長期化、つまり高齢化しているといわれています。そして、在任期間の長い経営者ほど、親族内承継が多い傾向も見られます。

ところが、在任期間の長期化は、安定と見られる一方で、いざという時の対応を遅らせてしまう可能性も出てきます。突然の事業承継とならないよう、事前の計画も必要になるでしょう。

また、下図に見るように、在任期間10年未満の経営者の場合、急激に親族外承継の比率が高くなっていきます。いわゆる「第三者承継」とも呼ばれる手法で、このなかにはM&Aの手法を生かして、第三者に事業を売却し、引き継いでもらう手法もあるでしょう。

この背景には、まだ継がせる親族が十分に育っていない、といったことがまず考えられます。さらに、そもそも事業承継のことを念頭に置いた計画を持っていないことも一因としてあるのではないでしょうか。

事業承継の形態の多様化

事業承継の形態の多様化
事業承継に関する現状と課題 平成28年中小企業庁より抜粋

行政書士は、事業承継から補助金・助成金の申請など幅広く中小企業をサポートしていることで知られています。

「さまざまな事業の問題について柔軟に対応している点が、相談しやすさにつながっていると思います。上手に活用していただきたい」

面倒な手続きに心を煩わすことなく、スケジュール通りに事業を引き継いで、顧客に迷惑をかけずに承継することに専念することが大事です。そういうとき、行政書士は気軽に相談できる窓口となっているわけです。