会社員のM&A挑戦について 私は賛成である。

日本の中小企業の3分の2が後継者不在という現実を考えれば、サラリー マンによるチャレンジングな事業承継がその流れに歯止めをかける一端となること自体はウェルカムであると言えよう。

起業も将来の選択肢になり得る

その事業承継成功のためには、勤め人時代に味わったものとは一味も二味も違う苦い経験があるかもしれない。何事もリスクとリターンはイコールである、という説が正しいならば、リスクをとった分、逆に今まで経験したことのない「喜び」や「自分の存在意義」を見いだすことも可能なのではないか。

仮にここまで大それた話ではなくとも、「社長業をやってみたい」「独立希望 がある」といった考えの持ち主は下記を参考にしながら、ぜひ事業承継による起業を将来の選択肢にしてほしい。

1.自分の得意分野で勝負する

サラリーマンとしての自分キャリアを生かすのが早道かつ王道である。商売はいい時もあ れば悪い時もある。自分が得意とする商売の領域であれば、思い込みや根拠のない自信に 基づくビジネスの失敗確率を大幅に下げることが可能となる。

これは、日常の会話を思い出せばよい。誰しもみんな、自分がよく知らない分野については前向き、肯定的な意見が多いと思うが、自分が詳しい分野になると、誰でもとたんに厳しい意見になる傾向にないだろうか。それは、様々な経験を重ねて自分自身が詳しくなっている証拠でもある。

2.必ず数字で表現する

計画を作る、という意味である。夢や希望は言葉でOK。 ただし、ビジネスである以上、数字が何もないというのはお粗末過ぎる。会社や部署に業務計画や中期経営計画があるように、自分の会社を表現するにあたっては必ず数字で示すことが必要である。また、これを作ることによって、いつまでに何をしなければいけないかを考えれるようになる。

余談であるが、銀行はこういった書類が大好きであり、お金を借りる際にも必ず提出を求めてくるので、その際にわざわざ作成する手間も省ける。

 「ほどほど儲けたい」の発想はNG

3.「ほどほどに儲けたい」という考えを捨てる

この考えは非常に大切である。サラリーマンのM&A希望者がよく口にする言葉であり、しかも何となく耳障りが良い言葉に聞こえるがゆえになおさら危険である。

先述した通り、経済合理性の観点からすると、リスクとリターンはイコールであるはず。だとすれば、サラリーマン時代のリスクと起業後のリスクはどちらがリスクが高いのか、ということである。起業後にリスクが高まったのなら、それと同等のリターンを求めてしかり。

M&Aアドバイザーの立場から少し現実的な話しをすると、「そんなに謙遜なさらなくてもそんな都合よく儲かりはしませんから」というのが本音でもある。少々くどいが、これは非常に大切な考え方なのでぜひ忘れないでいてもらいたい。

4.熱狂して会社経営を行う

これができれば、あなたは勝ったも同然。あなたの事業承継への挑戦は大成功である。歳を重ねるにつれ熱狂して何かに打ち込む機会は少なくなってくる。趣味やスポーツなら熱狂的に取り組んでいますよ、という方は大勢いらっしゃるでしょう。もし、その熱狂が自身の仕事の中で味わえたら…と考えただけでワクワクしませんか。

せっかくリスクをとって事業承継に挑戦した甲斐(かい)もあったというものです。ここまでのステージになれば、将来がどうのとか、お金がどうのとか、多分気にならなくなっているのではないかと思う。そんなあなたを見て、家族が喜ぶことはもちろん、周りの人達もハッピーにさせることができるかもしれません。

 最後に一言。M&A(ここでは事業承継)は楽しいぞ! 一緒に熱狂しましょう!

文:Antribe社長・小林伸行(M&A アドバイザー