M&Aや事業承継には様々な課題や関門がある。今回は、M&Aや事業承継を実行するにあたって登場する「専門家」の役割について説明したい。

メーンプレーヤーは弁護士と会計士

①弁護士  ご存知の通り法律のプロ。M&Aの場合は特に会社法に強い人が良い。親族内承継の場合は 、相続紛争が想定されるケースや、生前贈与や遺言による相続紛争防止を検討する際に弁護士への相談が必須となる。デメリットとしては報酬が高額となるケースが多い。

②公認会計士 M&Aでは財務デューデリジェンス資産査定)が会計士の主な仕事。親族内承継の場合、既存株 主からの株式買取り価格の算定などがメーンとなる。私見では、会社の価格(企業価値) が億円以上となるケースで会計士の出番となることが多いように思う。

ただし、後述する税理士との違いは世間一般ではあまり明確となっていないケースが多い。注意点としては、M&Aの案件は特定の会計士に集中する傾向があり、いわゆるコンサルティング業務を不得手(あまり経験がない)とする会計士が多く存在することも事実である。

③税理士 M&Aや親族内承継について、まず自分の顧問税理士に相談する人が大半であると思われる。 実際に相談してみて初めて気が付くと思うが、意外と税理士はM&Aや事業承継などのコンサルティング業務が不得手な人が多い。

その理由としては、いつどこで案件が発生するか分からないことに対して、かつ、毎年地味に? 改正や新設される事業承継絡みの税制につ いて費用対効果で考えた場合、「割に合わない」からである。毎月の記帳業務と年に1度の決算業務で忙しい事務所ではまず対応できないと考えてさしつかえない。

④司法書士 贈与や遺言など相続に関する「不動産登記」や「商業登記」は得意分野であるケースが多い 。これはM&Aや親族内承継において事務手続きの部類。M&Aや親族内承継のプレーヤーや、取りまとめ役として登場する頻度は低いと思われる。

ただし、時折びっくりくらい実務に詳しい(好きな)人がいる。そういった人は同業内で有名なはずなので、知り合いの司法書士に聞いてみるのも一つの手である。

⑤行政書士 許認可の承継など、行政手続きに必要な支援時に登場する。司法書士と同じく大半は事務手続きによる支援を得意とする。M&Aや親族内承継対策全般を相談する対象にはならないと思っておいた方がよい。

⑥中小企業診断士 私見であるが、中小企業診断士に対しては、M&Aや親族内承継自体を相談するというよりも、案件成立後の会社の磨き上げの助言や後継者教育に関する助言や経営計画の策定支援(多分、経営計画の策定支援が一番得意なはず)を相談すべきだと思う。

良い意味でも、悪い意味でもやる気のある(もちろん報酬額による)人が多く、何でも受注しに奔走する印象があるが、何が得意分野なのか相談する側が見極める必要がある。