シリーズ中小企業経営・事業承継に活用したい手法 その14【体験記】
事業承継:株を分離し会社を継がない子供に財産を・会社を継いだ甥に議決権を!」

シリーズ第14弾は 当社がスキーム作りを手掛けた事業承継事例をお送りします。今回は「直系親族以外への承継・甥への承継」、次回は「従業員への承継事例」をお送りします。

A社の創業者は80歳になり、子供さんたちも40歳を超えていますが、みなさん会社以外に勤務されそれぞれの道を歩んでおられます。会社を継ぐつもりはないと・・・、 唯一親族で甥っ子さんが子会社の社長として頑張られ、徐々に業績も伸長し経営手腕を発揮されつつあります。その状態で当社に保険会社の方を通じて相談に来られました。

社長は、「子供たちはもう立派に生活しているのだから株はいらないだろう、会社を継ぐはずの甥っ子に相続してもらいたい」とおっしゃっていました。しかし、なんとなく寂しさや決断しきれない様子でした。

・親族に継がないのであれば、事業承継税制は使えない・・・
・単に娘に株式を上げてしまうと議決権が確保できず甥っ子さんは経営しにくいだろう・・・
・甥っ子さんも若く数億円での買取も難しそうだ・・・

そこで社長に、「財産としての株式をお嬢さんに残し、議決権だけを甥っ子さんに与えることができたらどうしますか?」と聞いてみました。

社長の返答は、「そんなことができるなら是非やりたい!」ということでした。

そこで当社が司法書士先生と一緒に組み立てたスキームは「株主間契約で議決権を甥っ子さんに預ける」。しかしこれだとお子さんたちは、契約なんて破棄できてしまうので、O君(甥っ子)が困るよね?きちんとした形で公正証書でやりたいとうことでした。

最終的には社長・お子様たち・甥っ子さんと一緒に会議を数度重ね、

(1)配当と譲渡した場合の財産価値としての株式はお子さんたちに順次贈与
(2)議決権は民事信託によりまずは社長に信託、社長に万が一のことがある場合には甥っ子さんがそれを引継行使する
(3)社長の思いや守ってもらいたい約束事は、社長・お子様たち・甥っ子さんの株主間契約を締結し守ってもらう。

となりました。

これにより、後継者へは議決権が渡り、お子さんたちには財産権としての株式が渡り思いに沿った事業承継ができました。

また信託することにより、受託者・委託者・受益者の全員の合意がない限り信託契約は変更できないため、かなり強固な権利関係の固定化ができたと思います(誰か1名の暴走では契約変更・撤回できない)。

文:畑中 孝介(ビジネスブレイン税理士事務所所長・税理士)
※本記事は「ビジネス・ブレイン通信」より転載しております。

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