日本政策金融公庫総合研究所は日本政策金融公庫論集第40号に、論文「親族外承継に取り組む中小企業の実態」を掲載した。

近年、中小企業で親族外承継を行う割合が高くなっていることから、親族外承継を実施した中小企業7社にヒアリング調査を行い、過去に行ったアンケートなどの結果を加味して中小企業が親族外承継を円滑に行うためのポイントをまとめた。

その結果、経営を託す社長は4点の対策に取り組み、経営を引き継ぐ後継者は3点の対策に取り組む必要があるとの結論を得た。

親族外承継に必要な7つの対策

ヒアリング調査は従業員40人の美容室、従業員300人の菓子メーカー、従業員382人の電気照明器具メーカー、従業員46人の写真スタジオ、従業員31人の耐熱容器メーカー、従業員43人の板金加工業者、従業員40人の機械部品メーカーの7社に行った。

7社のうち6社が内部昇格、1社が外部からの招聘で、M&Aのケースはなかった。経営を託す社長が取り組むべき4点の対策、後継者が取り組むべき3点の対策が実現できない場合はM&Aが選択肢の一つとなるわけで、M&Aを決断する判断材料となりそうだ。

その取り組むべき対策として、社長が行う必要があるのはまずは後継者候補に幅広い業務を経験させ、責任ある仕事を任せること。これによって後継者の判断やリーダーシップを養うとともに、従業員をはじめとした関係者からの信頼を得ることにもつなげられるという。

2点目はセミナーや勉強会への派遣、社長との同行などで、後継者に多様な学びの機会を与えること。3点目は後継者に社内プロジェクトの遂行を経験させること。プロジェクトを通して判断能力を高められるとともに、自社に対する問題意識ももてるようになるという。

4点目は後継者が社長就任への決断をしやすいように、事業の将来に期待をもてる状況にしておくととともに、承継後の役員の布陣といった組織体制まで考えておくこと、としている。