望まない企業へ譲渡されるおそれも…

事実、5月に発表した仏ルノー、日産、三菱自動車工業<7211>の新たなアライアンス(企業連携)戦略では、従来の商品計画や開発の一体化から各社が個別開発した技術を相互供与する「業務提携」レベルの内容に後退した。

次世代エコカーの目玉となるEV開発ではグループで開発費や開発陣を一点集中して取り組むべきなのに、ルノーと日産がそれぞれ担当することになった。要はいつでも「お別れ」できる体制に組み替えられているのだ。

ルノーが共倒れを避けるためには、年内に日産を切り離さなくてはならない。すでに水面下では43.4%を保有する日産株の譲渡に向けて動き始めているだろう。現在の株価でみれば約6600億円になる。これは1999年にルノーが日産に出資した6430億円*に近い金額だ。これまでに日産から得た配当などを考えれば、ルノーにとっては「損切り」どころか十分に成果が出た投資の回収となる。

一方、日産にとっては念願だった「ルノー支配からの独立」が実現することになるが、そのためには少なくとも6600億円の資金が必要となる。スポンサー探しが急務だが、一刻も早く売却したいルノーだけに、まごまごしていると望まない企業に売り飛ばされるリスクがある。

日産を取り巻く状況は厳しく、ルノーから離れて三菱自動車との国内連合で生き残るのは不可能に近い。それだけにスポンサー探しは難航するはずだ。日産に残された時間は短い。

*日産自動車株の36.8%に加えて、日産ディーゼル工業(現・UDトラックス)株22.5%、日産の欧州販売金融会社を取得した総額

文:M&A Online編集部