トヨタがいすゞと再び手を組む本当の理由は燃料電池「生き残り」

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商用車でのFCV展開を目指すトヨタ

そこでトヨタがFCVの「新天地」として目をつけたのが、バス・トラックなどの商用車だった。乗用車としては普及が絶望的なFCVだが、商用車は違う。まず乗用車と違い、決まったコースを走行するケースが多い。車両は物流ターミナルや営業所を中心に運用されるため、そうした拠点に水素ステーションがあれば街中になくても運用は可能だ。

さらにバスやトラックなどの商用車は車内スペースに余裕があるため、大型の水素タンクを多数搭載できる。満充填状態での走行距離も長くなるので、例えば各政令指定都市に水素ステーションを置けば、全国にFCV商用車を走らせることが可能になるだろう。

EVは充電時間が長い。車両の稼働率が利益に直結する商用車にとっては致命的な欠陥だ。軽油と同様に水素を充填すれば、すぐに走り出せるFCVは商用車向けのエコカーといえる。2020年10月にトヨタは日野の米現地法人とFCV大型トラックを共同開発し、2021年前半をめどに試作車両を製造する「プロジェクトZ」を立ち上げた。そうした取り組みに、いすゞを巻き込んだわけだ。

日野がトヨタと共同開発するFCV大型トラックのイメージ(同社ホームページより)

いすゞは同月にボルボ・グループからUDトラックス(旧日産ディーゼル工業)を2430億円で買収している。トヨタはいすゞと資本提携することで、独ダイムラー子会社の三菱ふそうトラック・バスを除く国内3社の商用車メーカーでFCVの統一規格が実現できることになる。

現在も主にガソリンエンジン車は乗用車、ディーゼルエンジン車は商用車という「使い分け」がされている。将来はEVが乗用車、FCVが商用車と「使い分け」される可能性が高そうだ。

文:M&A Online編集部

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