増加するヘルスケア産業の再編

「医療機器分野への参入は続く」と見る竹平弁護士

竹平征吾弁護士は富士フイルムホールディングスと米ゼロックスの経営統合、池田銀行と泉州銀行の経営統合、エイチ・ツー・オー リテイリングとイズミヤの経営統合などにかかわった経験を持つ。2001年から2003年までは大和証券SMBCで投資銀行業務に従事していた。

「M&Aだけでなく、買収防衛や新株発行、非上場会社のオーナーの経営権争いなども手がけている。売主が売ろうとした時にどのようなアクションが起こるのか、差し止め訴訟などは起こらないのかといった、事前の検討段階から関与している。海外の買収でも事後の紛争を見据えたアドバイスをしている」という。

M&Aについては「ここ3-5年の動きとしてはヘルスケア産業の再編がある。医薬品業界であればジェネリックの薬価改定で、ジェネリック事業の売り買いが増えてきた。化学品や繊維などの他業種が医療機器分野に参入する事例なども増えており、今後もこの傾向は続くだろう」と見る。

さらに「この分野ではクロスボーダーも多く、欧米の市場をターゲットとしたものと、日本市場向けの医薬品のパイプライン(新薬に結びつく開発中の新規候補物質)を求めるものの二つのタイプがある」という。

長崎の地銀統合はどのくらいの競争圧力が生じるのかがポイント

「今後、地銀統合は増えそう」という石井弁護士

石井崇弁護士は独禁法の専門家で、2007年から2012年まで公正取引委員会で勤務し、M&Aの審査をした経験を持つ。新日本製鉄と住友金属工業の統合の審査も行った。神戸大学や東京外国語大学で独禁法についての非常勤講師を務める。

「市場がシュリンクしているため3社が2社になったり、2社が1社になったりするM&A が少なくない。こうした状況で、公取委に認めてもらえるのかどうかというところが問題になってくる。公取委に認めてもらえないリスクを考慮して届け出に至らずに終わってしまう案件も少なくない」

そうした中、8月に公取委がふくおかフィナンシャルグループと十八銀行の経営統合を認めた。両社の債権を他の銀行に譲渡することが条件となった。

この案件について「債権譲渡が決定的というよりも、債権譲渡することによって長崎に進出していなかった銀行が、そこで取り引きを拡大するきっかけになるところが、重要なファクターになっている。シェアだけでなく、どれくらいの競争圧力が生じるのかを丁寧にみた結果だろう。今後こうした事例は増えそう」という。