文部科学省の局長が、私立大学の事業に対して便宜を与えた見返りに自身の子供を大学に合格させてもらったとして、受託収賄容疑で逮捕された事件が取り沙汰されています。執筆時点では贈賄側の逮捕にまでは至っていませんが、法人としての贈賄リスク管理がコンプライアンス上の重要課題である点については再認識したいところです。

特にM&A展開により海外子会社を有する企業グループでは、外国公務員に対する贈賄にどのように対処するかが課題となります。そこで本稿では外国公務員贈賄防止にかかる制度を概観してみたいと思います。

各国の汚職度の指標

2018年2月、汚職・腐敗防止に関する啓発活動を行う国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナルが腐敗認識指数CPI(Corruption Perception Index)2017を公表しました。腐敗認識指数は同NGOが世界180の国と地域における専門家およびビジネスマンに対するアンケート調査をもとに毎年公表しているものです。

2017年度において清廉度が高いと認識された国はトップから順にニュージーランド(89点)、デンマーク(88点)、フィンランド(85点)でした。逆に、汚職度が高いと認識された国はワーストから順にソマリア(9点)、南スーダン(12点)、シリア(14点)でした。

日本は20位(73点)で前年と同順位になっています。アジアではシンガポールの6位(84点)、香港の13位(77点)についで3番目という位置づけです。なお、アジア近隣諸国では台湾29位(63点)、韓国51位(54点)、中国77位(41点)、北朝鮮171位(17点)という順位になっています。

OECD外国公務員贈賄防止条約と我が国の法制

外国公務員に対する贈賄防止の国際的な枠組みとしてはOECD外国公務員贈賄防止条約があります。現在、43カ国が締約国となっており、我が国は1998年に本条約を2番目に締結しています。

それでは、我が国で本条約を担保する法律、つまり具体的に外国公務員への贈賄を禁止している規定はどこにあるのでしょうか。実は独立の法律ではなく、不正競争防止法18条1項において、国際的な商取引に関連して営業上の不正の利益を得るために外国公務員などに贈賄することを禁止しています。

また、これに反して贈賄などを行った場合、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(同法21条2項7号)、法人の両罰規定として3億円以下の罰金(同法22条1項3号)も定められています。

米国のFCPAと英国のUKBAとは?

こうした我が国の法律とともに海外展開する企業では外国の法律にも留意する必要があります。例えば、米国には海外腐敗行為防止法FCPA(Foreign Corrupt Practice Act)があり、贈賄禁止条項や会計処理条項が置かれています。

実際、ナイジェリアのボニー島におけるLNGプラントの開発事業で国際コンソーシアムのメンバーとなっていた日系企業が米国FCPA違反に問われた事件もありました。この事件では2011年に日系企業が米司法省と司法合意を行い、2億1880万ドルの罰金を支払っています。

また、英国には贈収賄防止法UKBA(United Kingdom Bribery Act)があり、同法6条において外国公務員贈賄罪が定められています。同法で特徴的な点は、贈賄についての罪だけでなく、贈賄を防止する体制整備を怠ったことに対する贈賄防止懈怠罪(同法7条)が規定されていることです。