学部譲渡が可能に? 法改正の検討を開始

文部科学省は、私立大学の学部を別の大学に譲渡できるよう、法改正の検討を始めた。2019年度中に整備される予定。経営難に陥った私立大学に、学生や教員を含め学部を単位とした他大学への「切り売り」を認め、大学再編を進めることがねらいだ。

2018年問題―18歳人口の減少に伴い、私大経営はさらに困難に

少子化の影響で、日本の18歳人口は減少傾向にあり、約600の私立大学の39%が定員割れを生じている。地方(特に人口減少が著しい北海道や東北、中四国)の、そして中小規模の大学ほどその傾向は著しい。

実際、私立大学の廃止は2003年度以降、三重中京大学、東和大学など10校に達した。また2003年度から2015年度にかけて、慶應義塾大学と共立薬科大学、関西学院大学と聖和大学、上智大学と聖母大学などが統合し、14校が6校にまとめられた。 吸収合併された大学の学生は、合併後の大学の学生に移籍される。

・主な私大の合併事例

実施年廃止統合先
平成20年度共立薬科大学慶應義塾大学 薬学部 薬学研究科
平成21年度聖和大学関西学院大学 教育学部
平成23年度聖母大学上智大学 総合人間科学部 看護学科

・主な国立大学の統合事例

実施年統合元統合先
平成17年度東京都立大学、東京都立科学技術大学、東京都立保健科学大学、東京都立短期大学首都大学東京(新設)
平成17年度大阪府立大学、大阪女子大学、大阪府立看護大学 大阪府立大学
平成17年度広島県立大学、県立広島女子大学、広島県立保健福祉大学県立広島大学

朝日新聞と河合塾が昨年行った共同調査でも、大学間統合への私大の関心は高まりを見せている。統合について「興味がある」と答えたのは72校で、回答した500私大の14%にのぼった。理由としては、「少子化の影響を受け、規模の縮小化は避けられない」「統合は経営の安定化に寄与する」「地域に必須な人材を養成しているが、小規模校で運営が難しい」などが挙がった。

もちろん各大学には独自の歴史や建学の精神があり、統合による母校の消滅については、内部から反発する声も強い。しかし一方で、今年から18歳人口はさらなる減少が予測されている。関係者間では「2018年問題」という言葉が交わされるほど、危機感が広がり、国としても何らかの対応が喫緊の課題となっていた。

学部譲渡によるメリットとは

学部の譲渡が可能になれば、経営難の大学は学部の売却により、運転資金を確保することができる。また経営の効率化の観点からも望ましい。不採算・不人気学部を切り離す一方で、人気や実績がある学部に対して、戦略的な物的・人的資源配分ができるためである。