2017 年8 月30 日、最高裁第二小法廷は、上場会社A の特別支配株主Y が、A に対して、A の株式について売渡請求をしようとする旨等を通知し、A が当該売渡請求を承認した旨等を公告したところ、当該公告後にA の株式を取得したX が、当該売渡請求について売買価格の決定の申立てを行った事案について、X は当該申立てをすることができないとする決定を行いました。
最高裁第二小法廷は、売買価格決定申立ての制度は、特別支配株主による売渡請求を承認する旨の対象会社の通知又は公告が行われると、その時点における対象会社の株主は、その意思にかかわらず定められた対価の額で株式を売り渡すことになるため、そのような株主を保護するために認められた制度であるとして、上記の通知又は公告により株式を売り渡すことになることが確定した後に売渡株式を譲り受けた者は、当該制度による保護の対象として想定されていないと解されると判断しました。
今後の実務においては、上記最高裁決定を踏まえ、株式等売渡請求に関する対象会社の通知又は公告後に、売渡株式を取得した株主による売買価格決定の申立ては、認められない運用になると思われます。
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