2018年9月12日、汚職および腐敗防止に関する啓発活動を行う国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナルが「Exporting Corruption report」(輸出国の腐敗調査)の2018年版を公表しました。

このレポートは、OECD外国公務員贈賄防止条約の下で、輸出に絡む外国公務員への贈賄に対して各国が具体的に行っている法執行の状況をもとに各国を格付けした調査報告書になっています。

本稿では、M&Aを通じて増加する海外グループ会社などにおける贈賄防止対策の重要性を再確認するとともに、同レポートの概要を紹介したいと思います。

改めて問われる贈賄防止対策の重要性

2018年7月に「海外子会社での贈賄などにどのように対応するか」という記事を投稿しました。そこでは、OECD外国公務員贈賄防止条約や我が国で外国公務員への贈賄を禁止している不正競争防止法18条1項について紹介するとともに、子会社管理の一環としてグループとしての対応方針を示すことの重要性に言及しています。

奇しくもその直後、我が国で初の司法取引の適用事例が不正競争防止法違反(外国公務員への不正利益供与)となったことが報道されました。この事例では、元役員の同法違反に対する東京地検特捜部の捜査に法人が協力することで法人自体に対する起訴が見送られることになりました。

司法取引の制度が真相の解明に一役買ったものと評価される半面、ともすれば役員や従業員の犠牲のもとに法人が罪を免れることも可能となる制度の危うさが見え隠れする事案ともいえます。

こうした司法取引制度の是非はともかく、海外子会社における外国公務員への贈賄は身近に起こり得るコンプライアンス違反であり、そのリスクを適切に評価するとともにグループ管理に反映させていくべきことの重要性を再確認する契機にはなるでしょう。