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ステーキけんのエムグラントはなぜ倒産に追い込まれたか

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ステーキハンバーグ&サラダバーけん 新羽店(神奈川県内)

「けん」に次ぐ当たり業態が開発できず

画像はイメージ(Photo by PAKUTASO)

飲食企業の労働環境の改善や、コンプライアンスを重視した経営が叫ばれるようになった時期と、エムグラントの絶頂期は重なっています。

2012年2月居酒屋「和民」で働いていた女性社員が自殺したのは、月100時間を超える過労が原因だったとして、労災認定されました。

民間団体は2012年「ブラック企業大賞」を立ち上げました。第1回はワタミ<7522>と、アルバイトの不当解雇問題に揺れたゼンショー<7550>が受賞しています。ブラック企業という言葉が、日本中で叫ばれるようになりました。

こうした状況の中、井戸氏はTwitterなどで「長時間労働が嫌なら働かなければいい」といった発言を繰り返し、たびたび炎上しました。「ステーキけん」は経営者自らが、一般の人々から倦厭されるムードを作ったといえます。

ワタミは客離れを引き起こし、2012年度の売上高740億円は2013年度に699億円(5.6%減)まで減少しました。さらに2014年度は603億円(14%減)まで落ち込んでしまいます。

そんな中、2016年にワタミは新業態「ミライザカ」と「鳥メロ」を市場投入しました。和民を業態転換した店舗は、前年比で126.8%という好業績をたたき出します。勢いにのったワタミは一気に業態転換を図りました。2017年3月末に241店舗あった「和民」は、2019年9月末で45店舗。ミライザカは154、鳥メロは140店舗まで拡大しました。こうして苦境を乗り越えることができたのです。

ワタミと同じく事業縮小を余儀なくされたエムグラント。しかし、次の当たり業態を開発することができませんでした。様々な業態の企業とタッグを組んでFC展開をしようとしています。

▼提携した企業(一部)

企業名 サービス内容 提携後の各社動向
遠藤商事 500円ピザをはじめとしたファーストフード「Napoli's pizza&cafe」の運営 2017年に破産。
アクティブソース 格安立ち飲み居酒屋「晩杯屋」の運営 2017年にトリドールが80%超の株式を取得。2020年に完全子会社化。
越後屋 本格生パスタ「POTA PASTA」の運営 2017年に投資ファンド「J-STAR」が全株を取得。

規模の拡大に一定の成果は出ているものの、ステーキけんのような爆発力を発揮することはできませんでした。そして、エムグラントは行き詰まりました。

2012年に230店舗あったステーキけんも、現在は25店舗ほどにまで縮小しています。

文:麦とホップ@ビールを飲む理由

麦とホップ @ビールを飲む理由

しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。

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