日本の商品やサービスの海外需要開拓支援を行う官民ファンド・海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)が、中国での日本酒の普及に一手を打ちました。6月18日に中国でワインの卸売事業を行う「EMW」(イーエムダブリュー、本社上海)の親会社「Trio」(トリオ、本社香港)を、22億円で買収すると発表したのです。EMWは中国主要都市に6拠点を設け、高級ホテルやレストランを中心に、3500以上の販売網を有しています。過去15年間で中国有数のワイン卸売業者へと成長しました。

クールジャパン機構は、EMWが築いた販売プラットフォームに日本酒をのせて中国内に流通し、中国人の食生活にSAKEを滑り込ませる作戦です。さらに各日本酒銘柄のマーケティングをバックアップするなど、EMWのハンズオン(伴走)型支援を実施する予定です。

日本酒の国内出荷量は20年前の半分に

まず、国内のアルコール消費事情から見てみましょう。

日本の成人1人当たりのアルコール消費量は、20年前の年間95リットルほどから80リットルにまで下がりました。注目したいのは、成人人口の横ばいが続いているにもかかわらず、酒の消費は沈んでいること。これがいわゆる「アルコール離れ」です。酒を飲む文化そのものが廃れてしまっています。

国内の酒マーケットはジリ貧状態なのです。

成人一人当たり酒類消費数量の推移

「成人一人当たり酒類消費数量の推移」国税庁(酒レポート)

そして、日本酒の国内出荷量も、減少の一途をたどっています。ピークの1973年は170万キロリットルを超えていましたが、近年は50万キロリットルまで減りました。減少に歯止めがかかる兆しは見えません。

日本酒をめぐる状況
日本酒の国内出荷量:「日本酒をめぐる状況」農林水産省より

出荷量の内訳を見ると、比較的安価な本醸造の減少が目立ちます。その一方で高価な純米吟醸は増加しており、一部の日本酒好きがこだわりの酒を飲む傾向が顕著になっています。

醸造酒である日本酒は、「二日酔いがひどい」「甘ったるい」といったネガティブなイメージがついてしまいました。そして昭和時代の「古臭い」といった印象も、日本酒離れを招いています。

各社スパークリングタイプのものを開発し、若い女性層の取り込みにも動いています。しかしながら、業界全体を盛り上げるほどの大変革には至っていません。

老舗日本酒メーカーの倒産も相次いでいます。東京商工リサーチによると、2002年から2011年の10年間で倒産した日本酒メーカーは74社。そのうち、7割以上が業歴100年以上の老舗企業が占めています。10年で売上高が30%以上落ち込んだメーカーは70%以上。業績悪化に苦悩する姿が見えてきました。

そんな中での希望の光が、日本食ブームを背景とした海外での消費です。