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M&Aと消費税の関係は?しっかり学ぶM&A基礎講座(38)

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合併会社分割は消費税の対象か?

それでは、M&Aのスキームに話を戻しましょう。合併会社分割は消費税の対象となるでしょうか。これらは資産や負債を包括的に承継する組織法上の行為であり、資産の譲渡とは異なりますので課税対象外となります。

株式譲渡は資産の譲渡ではあるものの「非課税」という扱いでしたが、合併会社分割はそもそも資産の譲渡に当たらないという意味で「不課税」と呼ばれます。

こうした非課税や不課税となるスキームに対して、事業譲渡現物出資では消費税が課税されます。これらの手法では個々の資産が譲渡されたと考えられるからです。そのため、譲渡された個々の資産のうち土地などの非課税資産には消費税がかかりませんが、課税対象となる資産については消費税の負担が生じます。

ただし、事業譲渡現物出資では異なる点があります。たとえば、課税資産1000と負債300を対価700で事業譲渡した場合、課税資産に対応する譲渡対価である1000をもとに消費税が計算されます。これに対して、同じ資産と負債を現物出資した場合だと、対価として発行される株式の価値700をもとに消費税が計算されるのです。

このように、M&Aのスキームによって課税の有無や消費税額の計算の仕方が異なります。組織の再編計画には消費税の影響も十分考慮して消費税10%時代に対処したいところです。

文:北川ワタル(公認会計士・税理士)

北川 ワタル

経歴:2001年、公認会計士2次試験合格後、監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)、太陽監査法人(現太陽有限責任監査法人)にて金融商品取引法監査、会社法監査に従事。上場企業の監査の他、リファーラル業務、IFRSアドバイザリー、IPO(株式公開)支援、学校法人監査、デューデリジェンス、金融機関監査等を経験。マネージャー及び主査として各フィールドワークを指揮するとともに、顧客セミナー、内部研修等の講師 、ニュースレター、書籍等の執筆にも従事した。2012年、株式会社ダーチャコンセプトを設立し独立。2013年、経営革新等支援機関認定、税理士登録。スタートアップの支援からグループ会社の連結納税、国際税務アドバイザリーまで財務会計・税務を中心とした幅広いサービスを提供。

学歴:武蔵野美術大学造形学部通信教育課程中退、同志社大学法学部政治学科中退、大阪府立天王寺高等学校卒業(高44期)

出版物:『重要項目ピックアップ 固定資産の会計・税務完全ガイド』税務経理協会(分担執筆)、『図解 最新 税金のしくみと手続きがわかる事典』三修社(監修)、『最新 アパート・マンション・民泊 経営をめぐる法律と税務』三修社(監修)など

北川ワタル事務所・株式会社ダーチャコンセプトのウェブサイトはこちら


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