2018年10月15日の臨時閣議において、安倍首相が2019年10月1日に消費税率を予定通り8%から10%に引き上げることを表明しました。ビジネスにおける影響度がますます高くなる消費税ですが、M&Aにはどのような影響を与えるのでしょうか。今回はM&Aと消費税の関係について考えてみましょう。

消費税は典型的な間接税

消費税は商品やサービスの価格に8%なり10%の税率を乗じるだけのシンプルな税金というイメージを持っている方がいるかもしれません。しかし、実際には、計算手順は複雑で、適用における特例なども多くあります。そのため、納税者と税務当局との間で見解の相違も生じやすい税目の一つです。

そもそも消費税の納税義務を負っているのは誰でしょうか。消費者はスーパーなどで買い物をするとき消費税を支払っていますが、税務署に対して消費税を納付している訳ではありません。商製品は生産者、卸売業者、小売業者という商流に乗って消費者の手に届きますが、その過程で各事業者が消費税の納税義務を負っています。

消費税の最終的な負担者は消費者ですが、消費税の納税義務者は各事業者です。このように税金の負担者と納税義務者が異なる税金を「間接税」と呼んでいます。消費税は典型的な間接税といえるのです。

M&Aのスキームによって消費税の負担が異なる

それでは、M&Aの基本的な手法である株式譲渡では消費税の負担が生じるのでしょうか。株式譲渡は現金を対価として株式を取得する手法です。株式などの有価証券は消費税が非課税となる資産です。つまり、株式譲渡によるM&Aでは消費税の負担が生じないということになります。

消費税は「事業として対価を得て行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」などに対して課されるのが原則です。ただし、資産の譲渡であっても一定の取引は非課税と定められています。株式譲渡は、資産の譲渡に該当するものの、その性質上、非課税とされているのです。これは株式交換株式移転についても同様です。

消費税を納める際のメカニズムは?

ここで消費税申告の仕組みについて確認しておきましょう。例えば、小売店が卸売業者から商品を108円(本体100円+消費税8円)で仕入れて216円(本体200円+消費税16円)で販売したとします。

小売店はお客さんから16円の消費税を預かったことになるので、これをお客さんの代わりに納税しなければなりません。その際、卸売業者に対して支払った8円の消費税を差し引くことができます。これは仕入税額控除と呼ばれるものです。

この仕入税額控除という仕組みがあるため、小売店は結果として利益に相当する部分にかかる消費税を納めればよいということになります。