東京証券取引所の「適時開示」ベースで、2018年上期(1~6月)の買収件数は283件だった。このうち日本企業による海外M&Aは47件。買収金額が1000億円を超えるのは武田薬品工業によるアイルランド製薬大手シャイアーの案件(6兆8000億円)をはじめ8件あったが、7件は海外M&Aで占めた。ただ、上期中2番目の大型案件である富士フイルムホールディングスによる米ゼロックスの子会社化はゼロックス側大株主の反対などで事実上頓挫を来し、実現が困難視されている。

100億円超の買収は22件

東証の適時開示は上場企業(東京、名古屋、福岡、札幌の各証券取引所に上場)に義務づけられた「重要な会社情報の開示」のことで、公正は株価形成と投資家保護を目的とする。さまざまな開示情報のうち、経営権の異動を伴う子会社化、事業取得(グループ内再編は除く)の買収案件についてM&A Online編集部が集計した。

1~6月の買収283件のうち、買収金額が1000億円超の案件は8件、100億円超だと22件あった(別表ランキング)。このうち海外M&Aは100億円超の22件中、15件と約7割を占めた。国別では米国6件が最も多く、イタリア、オランダがそれぞれ2件、アジアはカンボジア、韓国の2件にとどまった。

上位3件は武田薬品、富士フイルム、日本たばこ産業(JT)による案件。武田薬品のシャイアー買収は金額が7兆円近くにのぼり、2016年のソフトバンクグループによる英半導体設計大手アーム(約3兆3000億円)を上回り、日本企業として過去最大のM&Aとなる。売上高の3倍以上にあたる買収資金を必要とすることから経営の先行きを危ぶむ声も根強いが、買収が実現すれば、武田薬品は製薬業界の売上高で世界トップ10入りする。

富士フイルムのゼロックス子会社化は事実上頓挫か

米ゼロックス子会社化の行方は…?

富士フイルムの米ゼロックス買収をめぐっては両社の訴訟合戦に発展し、双方の経営陣の対立が決定的になっており、今年9月までに子会社化を完了する当初スケジュールは完全に破たん。富士フイルム側は経営統合の構えを崩していないが、情勢を見る限り、白紙撤回の公算が大きくなっている。

JTはロシア4位のたばこメーカー、ドンスコイ・タバックを子会社化する。JTはすでにロシアのたばこ市場で3割強のシェアを持つ最大手だが、中国、インドネシアに次ぐたばこ消費国である同国での足場をさらに強固にする。

日本企業同士で最大案件は伊藤忠商事によるユニー・ファミリーマートホールディングスの子会社化。8月をめどにTOBを実施して所有比率を50.1%(現在41.5%)に高め、経営権を掌握する。買付資金は約1200億円。

〇2018年上期 買収金額100億円超の案件ランキング(適時開示ベース)

1 武田薬品、アイルランド製薬大手シャイアーを子会社化(6.8兆円)
2 富士フイルムHD、米ゼロックスを子会社化(6710億円)
3 日本たばこ産業がロシアのたばこ4位、ドンスコイを子会社化(1900億円)
4 第一生命、米リバティライフの既存保険契約を買収(1400億円)
5 リクルートHD、求人情報サービスの米グラスドアを子会社化(1285億円)
6 東レ、オランダの炭素繊維メーカーのテンカーテを子会社化(1230億円)
7 伊藤忠商事、ユニー・ファミマHDをTOBで子会社化(1200億円)
8 日本電産、冷蔵庫部品メーカーの米エンブラコを子会社化(1175億円)
9 ※富士フイルムHD、細胞培養用培地の日米2社をJXTGから取得(852億円)
10 東京センチュリー、神鋼不動産を子会社化(697億円)
11 三井物産、豪石油ガス資源会社AWEを子会社化(512億円)
12 楽天、朝日火災海上保険を子会社化(449億円)
13 住友重機械工業、産業用モーターの伊ラファートを子会社化(219億円)
14 日本通運、イタリアのアパレル物流会社トラコンフを子会社化(190億円)
15 コシダカHD、女性向けフィットネスの米カーブスを子会社化(185億円)
16 SBSホールディングス、リコー傘下のリコーロジスティクスを子会社化(180億円)
17 CCCグループ、「カメラのキタムラ」展開のキタムラをTOBで子会社化(180億円)
18 日医工、後発薬のエルメッドエーザイを子会社化(170億円)
19 三精テクノロジーズ、オランダの遊戯機械大手Vekomaを子会社化(166億円)
20 ネクソン、モバイルゲーム開発の韓国ネット・ゲームズを子会社化(147億円)
21 トピー工業、自動車部品のATCホールディングスを子会社化(144億円)
22 Jトラスト、カンボジアの銀行ANZ ROYAL BANKを子会社化(114億円)

※譲渡側であるJXTGが適時開示