東京証券取引所の「適時開示」ベースで2018年1~3月の買収案件(経営権の異動を伴う子会社化・事業取得。ただしグループ内再編は除く)は145件だった。買収金額でみると、50億円を超えるものが15件。このうち1000億円超の大型案件は4件あり、いずれも海外企業に対するM&Aが占めた。

海外M&Aは145件中、21件

東証の適時開示は上場企業(東京、名古屋、福岡、札幌の各証券取引所に上場)に義務付けられた「重要な会社情報の開示」のことで、公正な株価形成と投資家保護を目的とする。さまざまな開示情報のうち、ここでは子会社化と事業取得の買収案件についてM&A Online編集部が集計した。

買収件数を月別にみると、1月44件、2月52件、3月49件で推移した。合計145件のうち、日本企業による海外M&Aは22件を数える。

1~3月の買収案件で最も規模が大きいのは富士フイルムホールディングス<4901>による米ゼロックスの買収。買収金額は6710億円と巨額だが、グループ外に現金の流出がない独自のスキームを用いる。子会社の富士ゼロックは富士フイルムHDの保有する全株式(所有割合75%)について6710億円で自己株買いを実施したうえで、米ゼロックスと統合。富士フイルムHDは富士ゼロックス株の売却で得た6710億円をもとに、ゼロックスの新株発行61億ドル(6710億円相当)を引き受け、ゼロックスの50.1%を取得する。

日米をまたぐこの大型M&Aは9月までの一連の手続きを終えるスケジュール。ただ、ゼロックスの大株主で「もの物言う投資家」として知られるカール・アイカーン氏が買収阻止に動きていることから、なお予断を許さない状況にある。

50億円超の買収は海外案件を中心に14件

別表の通り、買収金額が50億円を超える案件は15件(公表分)と、1~3月の適時開示145件のほぼ1割にあたる。この15件中、海外M&Aは10件。買収金額が100億円超だと10件中、海外M&Aが8件、1000億円超では4件すべてが海外M&Aと、中規模以上の買収の大半が海外企業に対する案件となっている。

〇金額上位の買収案件(社名は一部略称)

社名内容
 1 富士フイルムHD米ゼロックスを買収へ。株式50.1%を取得(6710億円)
 2 日本たばこ産業露のたばこ4位のドンスコイ・タバックを子会社化(1900億円)
 3 第一生命HD米リバティライフの既存保険契約を買収(1400億円)
 4 東レオランダの炭素繊維メーカーのテンカーテを子会社化(1230億円)
 5 三井物産 豪の石油ガス資源会社AWEの全株式をTOBで取得(512億円)
 6 楽天朝日火災海上保険をTOBで子会社化(約449億円)
 7 日本通運イタリアのアパレル物流会社トラコンフを子会社化(190億円)
 8 コシダカHD 女性向けフィットネスの米カーブスを完全子会社化(185億円)
 9 日医工後発薬のエルメッドエーザイを子会社化(170億円)
10  三精テクノロジーズ    オランダの遊戯機械大手Vekomaを子会社化(166億円)
11  アウトソーシングオランダの人材会社OTTOを子会社化(91億円)
12  RIZAPグループゲームソフト販売のワンダーコーポレーションをTOBなどで子会社化(約70億円)
13  文化シヤッター ガレージドア大手の豪アークパックを完全子会社化(54億円)
14  太陽誘電コンデンサー製造のエルナー子会社化(50億円)
15  レンゴートッパンコンテナーを子会社化(50億円)