東京証券取引所の「適時開示」ベースで、2018年4月の買収案件(経営権の異動を伴う子会社化・事業取得。ただし、グループ内再編は除く)は前月を4件下回る45件だった。なかでも日本企業による海外企業の買収が12件と活発で、全体の4分の1を占めた。M&Aを経営戦略の軸に据える日本電産は米国の冷蔵庫用コンプレッサーメーカー、エンブラコを約1175億円で買収することを発表したが、これは同社として過去2番目の大型案件となる。

伊藤忠がユニー・ファミマをTOBで子会社に

東証の適時開示は上場企業(東京、名古屋、福岡、札幌の各証券取引所に上場)に義務付けられた「重要な会社情報の開示」のことで、公正な株価形成と投資家保護を目的とする。さまざまな開示情報のうち、ここでは子会社化、事業取得の買収案件についてM&A Online編集部が集計した。

4月の買収案件で1000億円以上は2件、100億円以上だと4件あった。伊藤忠商事はユニー・ファミリーマートホールディングスをTOB株式公開買い付け)で子会社化する。8月をめどにTOBを実施して経営権を掌握する。買付代金は約1200億円。これに次ぐのが日本電産の案件。買収するエンブラコは米家電大手ワールプール傘下で、冷蔵庫向けに空気を圧縮するコンプレッサーの製造を手がける。同社のM&Aとしては2017年に米エマソン・エレクトリックから産業用モーターや発電機などの事業を約1200億円で買収したのに次ぐ規模だ。日本電産はこのほか、米の半導体ウエハー搬送ロボットメーカーの買収(金額は非公表)も決めている。

日本電産の2件を含めて12件にのぼった海外M&Aで、金額が大きかったのは共英製鋼と日東紡の案件。共英製鋼はベトナムの鉄鋼会社「ベトナム・イタリー・スチール・ジョイント」の株式を約54億円で追加取得し、持ち株比率を従来の20%から65%に引き上げ、子会社化。日東紡は台湾のガラスクロスメーカー、バオテック・インダストリアル・マテリアルズ(Baotek)を約40億円をかけてTOBと私募株式取得により子会社化する。

4月は製造業のM&Aが比較的多い。トピー工業は自動車用アルミホイールの有力メーカー、旭テック(静岡県菊川市)を傘下に持つATCホールディングス(同)の全株式を取得し、完全子会社化する。株式取得金額は約144億円。

金額上位の買収案件
1 伊藤忠商事、ユニー・ファミマHDをTOBで子会社化(1200億円)
2 日本電産、冷蔵庫部品メーカーの米エンブラコを買収(1175億円)
3 東京センチュリー、神鋼不動産を子会社化(697億円)
4 トピー工業、自動車部品のATCホールディングスを子会社化(144億円)
5 共英製鋼、越の鉄鋼会社ベトナム・イタリー・スチール・ジョイントを子会社化(54億円)
6 日東紡、台湾のガラスクロスメーカー・Baotekを子会社化(40億円)
7 マネックスグループ、仮想通貨交換業のコインチェックを子会社化(36億円)
8 セコム、警備業の東芝セキュリティを子会社化(26億円)
9 イデアインターナショナル、バッグ製造のシカタを子会社化(16億円)
10 明光ネットワークジャパン、「明光義塾」42教室運営のケイラインを子会社化(6億円)