東京証券取引所の「適時開示」ベースで、2018年5月の買収案件(経営権の異動を伴う子会社化・事業取得。ただし、グループ内再編は除く)は前月を18件上回る63件だった。100億円超の大型案件は7件あり、このうち海外M&Aが5件を占めた。

武田薬品工業がアイルランドの製薬大手、シャイアーの全株式を取得することで合意した案件は買収金額が6兆8000億円(約460億ポンド)にのぼり、実現すれば、日本企業による過去最大のM&Aとなる。通信工事業界では、首位のコムシスホールディングスと2位の協和エクシオがそれぞれ同業の上場会社3社を経営統合することになり、業界再編が一気に動き出した。

武田のシャイアー買収、破格の7兆円近くに

東証の適時開示は上場企業(東京、名古屋、福岡、札幌の各証券取引所に上場)に義務付けられた「重要な会社情報の開示」のことで、公正な株価形成と投資家保護を目的とする。さまざまな開示情報のうち、子会社化、事業取得の買収案件についてM&A Online編集部が集計した。

5月の買収案件63件中、日本企業による海外M&Aは100億円超の5件を含めて計9件(4月は12件)。国別では欧米5件、アジア4件だった。

武田薬品のグローバル本社(東京・三越前)

なかでも“破格”といえるのが武田薬品の案件。シャイアー買収は3月に表面化し、数度にわたる買収価格の引き上げを経て5月8日に合意に達した。買収金額は7兆円近くにのぼり、2016年のソフトバンクグループによる英半導体設計大手アームのそれ(約3兆3000億円)を大きく上回る。

売上高の3倍以上にあたる買収費用は現金と新株発行の組み合わせで賄う方針だ。両社は今後臨時株総会の承認を得てうえで、2019年6月までに買収を完了させる。買収により、武田薬品は製薬業界の売上高で世界トップ10に入る。

これに次ぐのがリクルートホールディングス。1285億円を投じて求人情報検索サイトを運営する米グラスドアを買収する(9月までに株式取得を完了予定)。リクルートは2012年に、1000億円で同種のサイト運営を手がける米インディードを買収しており、両社の相互連携を通じて、米の求人・求職市場で新たな事業創出を目指す。住友重機械工業はイタリアの産業用モーターメーカーのラファートを219億円で買収。

アジアはどうか。Jトラストはカンボジアの商業銀行ANZ ROYAL BANK(プノンペン)の株式55%を、ネクソンはモバイルゲーム開発会社で韓国KOSDAQに上場するナット・ゲームズの株式49%を取得し子会社化することでそれぞれ株主と合意した。