2017年2月に経営統合に向けて基本合意を公表したが、株価の値動きは限定的であった。6ヶ月株価のトレンドでは三重銀行、第三銀行の両行ともに同じような値動きとなっている。なお三重銀行の株価は2540円前後であり、第三銀行の株価は1720円前後で推移している。
図5:株価推移
2016年3月末時点で全国に地方銀行は105行が存在しており、数が多すぎるオーバーバンキング問題が指摘されている。金融庁が収益構造の脆弱な地銀の破綻を防ぐためにも再編を重要な選択肢として捉えているのは明白であり、これからも全国各地で地方銀行の合従連衡が起きることは不可避であると考えられる。
金融とITの融合を意味する「FinTech(フィンテック)」の取り組みも活発化しており、今後長足の進歩が予想されている。技術革新による異業種からの銀行業参入も始まっており、これまで地方銀行が苦手としてきた異業種との連携や協業も急務と言えそうだ。
今回、取り上げた三重銀行、第三銀行両行の再編劇が他行の更なる再編の呼び水となる可能性もある。各行が生き残りをかけた成長戦略を描き、業界再編にも一層の拍車がかかることが予想される地方銀行業界の今後の動向に引き続き注目したい。
文:M&A Online編集部
この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。
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