2.運送業のM&A動向

業界再編「SGホールディングスと日立物流との経営統合」の動き

陸運業界は、中小企業や個人事業者が多い市場であり、今後も大手有力企業を中心とした再編・集約が続くと考えられている。

M&Aにおける売り手企業の目的は物流業務のアウトソーシングと物流子会社の売却、経営の効率化、後継者不在が挙げられる。一方、買い手企業の狙いは規模の拡大、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)や特殊商材の取り扱いなどの事業領域の拡大、専門性の強化、グローバル化となっている。

近年、運送業界で最も注目を集めたトピックスは、佐川急便を傘下に持つSGホールディングスと日立物流との経営統合を見据えた資本提携だ。この統合が実現すれば、売上高合計は1兆5360億円となり、ヤマトホールディングスを抜いて、業界第2位の総合物流グループが誕生することになる。

〇最近の主な運送業のM&A

No.開示日対象企業・事業買い手手法取引総額(百万円)内容
1 2019/4/26 国際埠頭 丸全昭和運輸 株式譲渡 7,400 港湾運送の国際埠頭を子会社化
2 2019/2/15 韓進海運新港物流センター 内外トランスライン その他 386 韓国物流倉庫会社の韓進海運新港物流センターを子会社化
3 2018/12/17 JPロジサービス ハマキョウレックス 株式譲渡 非公表 日本郵便子物流会社のJPロジサービスを子会社化
4 2018/10/10 日新運輸 エーアイテイー 株式交換 非公表 日立物流傘下の日新運輸を株式交換で完全子会社化
5 2018/8/10 BEL INTERNATIONAL 鴻池運輸 株式譲渡 非公表 国際航空貨物の香港BELを子会社化
6 2018/7/19 エスケーサービス ビックカメラ 株式交換 非公表 運送業のエスケーサービスを子会社化
7 2018/5/18 リコーロジスティクス SBSホールディングス 株式譲渡 18,300 リコーの物流子会社、リコーロジスティクスを子会社化
8 2018/3/7 Traconf 日本通運 株式譲渡 19,000 イタリアのアパレル物流会社「トラコンフ」を子会社化

以上、「M&Aデータベース」より抜粋

3.運送業界のM&Aの特徴

「ドライバーの確保やネットワーク拡大など、シナジーが生じやすい」

運送業界でM&Aを活用して急成長を遂げた企業の代表例がSBSホールディングス。同社は2004年に雪印物流を30億円で買収したことのを手始めに、引っ越し事業や倉庫事業など、さまざまな物流会社をグループ化した。その結果、上場時(2003年12月)に190億円だった売上高は2018年12月期に2035億円に膨らんだ。

運送業界のM&Aには、「シナジーが生じやすい」という特徴がある。その要因として挙げられるのがドライバーの確保によるシナジーである。これは近年、運送業界で競争が激化している3PLにおける直受け荷主の獲得というメリットにもつながる。

新たな拠点が加わればネットワークが広がり、さらなるシナジーを期待することもできる。このようなメリットは事業成長を促す原動力にほかならず、今後も運送業の再編・統合が加速することが予想される。

文:M&A情報誌「STRIKE」 2019年 vol.31/データ・編集:M&A online編集部