え? なんであの会社がこの会社を買うの? この会社ってあのグループだったの? と思わず驚かずにはいられない、意外なM&Aがある。そんなディールを集めてみた。買収の狙い、そしてそこから見えてくるものとは…?

セブン&アイホールディングスがバーニーズジャパンを買収

(買収金額 約120億円 出資比率約100%、買収時期 2015年2月)

セブン&アイホールディングス<3382>が米高級百貨店のバーニーズニューヨークを日本で運営するバーニーズジャパンを買収した。2013年12月に東京海上キャピタルが運営するファンドから12,800株、2015年2月には住友商事より12,801株を株式取得し、完全子会社化した。

本家のバーニーズニューヨークは1923年、マンハッタンの7番街にバーニー・プレスマン氏が創業した高級百貨店だ。目利きのバイヤーがセレクトする高級感のある品揃えと接客が人気だ。

日本への進出は1989年。伊勢丹とバーニーズニューヨークの提携によりバーニーズジャパンが設立された。1990年に新宿で1号店をオープン。ところが2006年に伊勢丹がバーニーズジャパンの株式を東京海上キャピタルのファンドと住友商事<8053>に売却。この株式をセブン&アイが取得し、完全子会社化したことになる。買収金額は2013年12月の東京海上キャピタルのファンドからの株式取得、2015年2月の住友商事からの株式取得ともに、それぞれ60億円程度といわれている。

なぜ、セブン&アイはバーニーズジャパンを買収したのか

2013年12月のセブン&アイのプレスリリースによると、セブン&アイは百貨店事業の中核会社である「そごう・西武」が「新しい百貨店」を標榜し、プライベート商品を中心とする自主開発商品の強化に取り組んできた。その商品開発力の一層の強化のためにバーニーズジャパンが持つ商品調達力や売り場編集力等のノウハウが必要と判断したからだ。また、バーニーズジャパンが有する世界的なブランド力も魅力だった。

さらに、住友商事が持つバーニーズジャパンの全株式(50.1%)の買収では、住友商事側が「2006年8月に住友商事が買収したバーニーズジャパンでは、旗艦店の新規出店、既存店の改装、アウトレット業態の開発、オンラインストアの展開など、オムニチャンネル(店舗やイベント、ネットやモバイルなどのチャネルを問わず、あらゆる場所で顧客と接点をもつ考え方や戦略)時代を見据えた事業基盤の拡大・整備を進めてきたが、今後の成長を支える基盤の整備、事業価値の向上に目途がたったからだ」としている(2015年2月の住友商事のニュースリリース)。一方、セブン&アイでは「グループにおけるシナジー効果のさらなる追求のため」としている。

セブン&アイとバーニーズのつながりは、カリスマバイヤーと称された藤巻幸夫氏の人脈だろう。藤巻氏は伊勢丹から出向しバーニーズジャパンの設立に携わった。2003年に肌着メーカーの福助を経営再建すると、2005年にセブン&アイ生活デザイン研究所代表取締役社長に就任。2009年までイトーヨーカ堂の顧問を務めていた。(藤巻氏は2012年にファッション業界初の国会議員となったが、2014年に急逝した。)

セブン&アイが目指す「新しい百貨店」とは、結局どのようなものだったのか。今日その効果が存分に発揮されているとはいいがたい。セブン&アイの百貨店事業の中核会社「そごう・西武」の営業利益は、買収後も伸び悩みが続いたままだ。

文:M&A Online編集部