え? なんであの会社がこの会社を買うの? この会社ってあのグループだったの? と思わず驚かずにはいられない、意外なM&Aがある。そんなディールを集めてみた。前回に続き、IT業界を牽引するヤフーにスポットを当てる。買収の狙い、そしてそこから見えてくるものとは…?

ブックオフコーポレーションを買収し、「リユース革命」を起こす!

(買収金額 約100億円 出資比率約14%、買収時期 2014年5月)

ヤフー<4689>が、中古書店「BOOK OFF」をチェーン展開するブックオフコーポレーション<3313>と資本提携したのは2014年5月。ヤフーの出資比率は直近で約14%とブックオフコーポレーションの筆頭株主ではあるが、持分法適用会社となる。いわゆるヤフーにとってブックオフコーポレーションは「連結子会社」ではなく、「その他の関連会社」という関係だ。

なぜ、資本提携をしたのか。実店舗を持つブックオフコーポレーションとしては、買い取った本のインターネットへの出品による販路の拡大と、総合的な買取り窓口を設置して仕入のバリュエーションを拡大することにあった。その戦略を「リユース革命」と呼んでいる。

リユース革命とは「再利用の市場を消費者が当たり前と思えるように浸透させること」といえるだろう。資本・業務提携契約を締結時のヤフーのプレスリリース(2014年4月)によると、「日本最大級の中古本販売チェーン『BOOKOFF』のチェーン全店で買い取ったモノを、日本最大級のインターネットオークションサイト『ヤフオク!』で販売する仕組みを構築し、現在40%程度にとどまっているとされるリユース経験者を将来的に100%にすることを目指す」としている。

ヤフーは「Yahoo!オークション」(※2013年3月からは「ヤフオク!」)によって、日本にインターネットによる「中古品市場」を生み出した。それは、個人消費の現場での循環型社会の先駆けとなった。

一方、ブックオフコーポレーションは「BOOKOFF」というリアル店舗チェーンで、書籍やCD、ゲーム、さらにアパレルやスポーツ用品、ベビー用品、雑貨、携帯電話などの中古市場を開拓してきた。

しかし、そこにはいくつかの課題もあった。「BOOKOFF」側は、“宝の山”であるとともに、大きな経営上の負担でもある滞留在庫だ。一方、「ヤフオク!」の課題は出品の手間ということがある。サイトへの出品、落札後の梱包・発送などを手間だと感じる人はまだまだ多い。

ヤフーとブックオフコーポレーションは、上記の課題を解決し、リユースが当たり前となるような社会をつくることを目指す。ブックオフコーポレーションとしては在庫を「ヤフオク!」上でも販売できれば、従来の「リアルな商圏」という制約を超えた販売が実現する。ヤフーとしては「BOOKOFF」店舗内に「ヤフオク!」へも出品可能な「総合買取り受付窓口」を設ければ、顧客にリユースをより身近に感じてもらえるようになる。そのリユース体験店舗が、2014年9月、東京・渋谷と自由が丘(目黒区)にオープンした。

ところが、リユース体験店舗の雲行きは少し怪しくなっている。たとえば、自由が丘(自由が丘駅前店「hugall」)の窓口を閉め、同店内にリユース総合受付として2016年11月に新規窓口を設けた。おそらく、他業態や競合他社など、一筋縄で拡大とはいかない事情が背景にあるのだろう。

特にフリマアプリ「メルカリ」の台頭が目覚しい。スマホで出品まで3分という手軽さが受け、ダウンロード数は日米合算6,500万DL、月間の流通額は100億円超に達した。

消費者がリユースを必要としていることは、メルカリの人気で明らかになった。今後は消費者の「手間なく売買したい」という意識を同社が取り込んでいけるかどうかだろう。次の一手に注目したい。

文:M&A Online編集部