え? なんであの会社がこの会社を買うの? この会社ってあのグループだったの? と思わず驚かずにはいられない、意外なM&Aがある。そんなディールを集めてみた。前回に続き、IT業界を牽引するヤフーにスポットを当てる。買収の狙い、そしてそこから見えてくるものとは?

高級ホテル予約サイトの一休を買収。宿泊予約サイト3強時代へ

(買収金額 約1000億円 出資比率(議決権所有割合)94%、買収時期 2015年12月)

買収の経緯

ヤフー<4689>がTOB(株式公開買付)によって一休の買収を開始したのは2015年12月。買収金額は約1000億円。インターネット業界の牽引役であるヤフーにとって、史上最大の大型買収である。だが当初、買収の意向は一休側から打診されたようだ。2016年2月のヤフーのプレスリリースによると、「一休の創業者で筆頭株主の森正文氏に、売却後も継続的に成長をサポートできるパートナーに株式を譲渡したい」との意向があり、2015年8月に打診があったという。

2016年2月、ヤフーが一休の普通株式の約94%を所有して特別支配株主となり、一休はヤフーの連結子会社となった。その後、一休は上場廃止となった。そして、創業社長で約41%の株式を保有していた森正文氏は辞任した。

ヤフーによる一休の買収の狙い

一休は、高級ホテル・高級旅館の予約に特化したインターネットサイト運営事業を行っている。そもそもヤフーが一休との業務提携を始めたのは2007年11月のこと。「Yahoo!トラベル」における国内宿泊予約分野の活性化を図るため、「一休.com」の宿泊商品をYahoo!トラベルでも閲覧・予約できるようにする宿泊プランの掲載からスタートした。

ヤフー側は「一休は高級ホテル・高級旅館に特化する戦略で高成長を続け、質の高い宿泊商品を多数保有している。Yahoo!トラベル上のラインアップとして加えることで、品揃えの充実を図り、新たな利用者の開拓を進める」としていた。「Yahoo!トラベル」はそれまで、いわば出張時のビジネスホテルや普通の旅館の扱いがメインだったが、高級ホテル・高級旅館に特化する一休を取り込めば、事業の拡大も可能と判断したのだろう。

宿泊予約サイト大手には、リクルートグループの「じゃらん」や楽天の「楽天トラベル」がある。そこに一休を取り込んだYahoo!トラベルが加わり、3強時代となる。ヤフーは「じゃらん」や「楽天トラベル」がこれまで十分には取り込めていなかった客層を取り込むことができる。

なお、一休には高級レストランの予約サイト「一休.comレストラン」もある。ヤフーには飲食店予約サイトとして「Yahoo!予約」があり、一休がもつ飲食店のYahoo!予約への掲載も2011年1月から始めていた。ここでも買収の効果が期待されるが、飲食店予約サイトには、カカクコムの「食べログ」や(株)ぐるなびが運営する「ぐるなび」もある。

競合がひしめく業界において、ヤフーがどのような特徴を新たに打ち出し得るか。インターネット業界の予約サイトにおける熾烈な企業間競争はすでに始まっている。

文:M&A Online編集部