黒鉛電極の需要拡大でロケットスタート

中計最終年を迎えた2018年の業績はロケットスタートを切った。2018年第1四半期(1~3月)の売上高は前年同期比72%(174億円)増の415億円、営業利益は同7.2倍(110億円増)の127億円と、記録的な滑り出しをみせた。最大の要因は電炉部材である黒鉛電極の需給逼迫に伴う販売増とこれに伴う市況(売価)の急回復。黒鉛電極は第1四半期の売上高、営業利益の増加分の7割前後をそれぞれ占めた。

昨年11月に買収した米国の黒鉛電極製造拠点は売り上げベースで45億円程度寄与した。この会社こそが500億円のМ&A投資枠の活用第一弾として傘下に収めたSGL GE カーボンホールディング(デラウェア州、現東海カーボンGEホールディング)だ。ドイツの黒鉛電極メーカー、SGLが米に持つ子会社を取得したもので、買収額は129億円。SGLの黒鉛電極事業をめぐっては昭和電工が2016 年10月に買収することで合意していたが、米競争当局(司法省)からの承認が得られず、米の黒鉛電極事業については東海カーボンが取得することになった。これにより、日本とドイツの従来の生産拠点に加え、世界最大の電炉市場である北米への本格参入の道が開けた。

電炉用に需要が急拡大する黒鉛電極:東海カーボンHPから

黒鉛電極は東海カーボンにとって100年の歴史を持つ祖業であり、今もカーボンブラックと並ぶ主力事業。実は今、時ならぬ“バブル”の追い風を受けているのだ。

黒鉛電極は鉄のスクラップを電炉で溶かす際に使われる円筒状の消耗品。3000度Cを超える過酷な温度条件下で使用できる材料は黒鉛だけとされる。世界的な電炉鋼生産の回復、中国の電炉シフト、電極主要材料(ニードルコークス)の供給不足などを背景に、2018年契約分から市況が上昇している。

黒鉛電極の価格は中国の粗鋼生産減少の影響で2012年を境に下落が続いていた。2012年当時、5000ドルだった電極価格(1トン当たり)は2016年に3000ドルまで低下していたが、2017年から需要環境が一変。1~3月の電極価格は平均7000ドルの最高値圏に跳ね上がり、さらに7月以降は1万1000ドル台での推移が見込まれている。

黒鉛電極だけで900億円超に売り上げ急伸

こうした市況環境を織り込み、黒鉛電極のセグメント売り上げとして通期で当初860億円と前年実績の3倍以上を見込んでいたが、5月初めの第1四半期決算発表時に931億円(全社売上高は通期1940億円)に上方修正。黒鉛電極だけで前年の全社売上高(1062億円)に迫る快進撃をみせている。