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【サンデンHD】流通システム事業をファンドに売却し、自動車機器に集中

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サンデンRS、ファンド傘下で上場模索か

ところで、サンデンHDから、流通システム事業を買収するインテグラルはどんな会社なのだろうか。

同社は日本国内の上場・未公開企業を対象とする独立系プライベート・エクイティ投資会社として2007年に発足した。日本を代表する和製ファンドの一つに数えられる。代表取締役パートナーの佐山展生氏は1999年に国内初の本格的な投資ファンドとしてユニゾン・キャピタルを、2004年にはM&A助言会社のGCA(東証1部上場)を共同設立したことで知られる日本におけるM&Aの第一人者。

インテグラルの主な投資先にはスカイマーク、アデランス、アパマンショップホールディングス、キュービーネットホールディングス、大泉製作所などがあり、再生支援や成長支援を手がける。

今年の案件では6月に、東証一部の中堅化学肥料メーカー、日東エフシーをTOB株式公開買い付け)で傘下に収めた。日東エフシーをいったん非公開化し、企業価値の向上への施策を集中的に講じる。

今回のサンデンRSのケースはどうか。インテグラルはサンデンRSが国内の自動販売機と冷凍・冷蔵ショーケースで確固たる業界ポジションと築くと同時に、米、欧、アジアに展開するグローバルメーカーである点を高く評価。既存製品の競争力強化に加え、無人販売を実現する次世代自販機「MMV」などの新製品による市場創出を通じて事業成長を推し進める考えだ。

サンデンRSの経営は引き続き、森益哉社長ら現経営陣があたり、インテグラルは経営ノウハウや成長資金を投下する。サンデンRSの連結売上高は目下、700億円規模。将来の出口戦略(投下資金の回収)としては株式上場を目指すと考えられる。

本丸の自動車機器でM&Aは?

サンデンHDによるM&A実績は数例に過ぎない。その一つは1988年、米国の自動販売機メーカー、ベンド―(現サンデンベンド―・アメリカ、テキサス州)の買収。これを足掛かりに米、欧で流通システム事業に乗り出した。2011年には東芝機器から欧州で好まれるカップ自動販売機事業を取得した。そうした中、今回、売り手としてかかわったのがサンデンRSの売却だ。

サンデンHD自身は10月、空調分野を中心とする自動車機器の専業メーカーとして再出発する。新たな成長の階段を登る過程でいずれ攻めのM&Aに打って出る場面が到来しそうだ。

主な沿革
1943 創業者・牛久保海平が群馬県伊勢崎市に三共電器を設立。通信機用部品、マイカコンデンサーなどの生産を始める
1948 自転車用発電ランプの生産を始める
1956 小型モーターや、電気洗濯機などの家電に進出
1958 アイスクリームストッカー、冷凍・冷蔵ショーケースの生産開始
1961 噴水式ジュース自動販売機を開発、東証2部上場
1963 石油式暖房機を開発
1970 米ミッチェルとカーエアコン用コンプレッサーの技術提携
1971 カーエアコン用コンプレッサーの生産開始
1973 東証1部上場
1974 米国現地法人サンデン・インターナショナル(テキサス州)を設立
1980 米国にカーエアコン用コンプレッサーの生産工場を設立
1982 サンデンに社名を変更
1988 米の自動販売機メーカー、ベンド―(現サンデンベンド―・アメリカ、テキサス州)を買収
1989 米にカーエアコン用コンプレッサーの第2工場を稼働
2011 東芝機器からカップ自動販売機事業を取得
2015 持ち株会社制に移行し、サンデンホールディングスに社名変更
2017 自動車機器事業の国内子会社5社を三和(群馬県伊勢崎市)、流通システム事業の国内子会社3社をサンワファブテック(前橋市)へ吸収合併
2018 住環境システム事業から撤退
2019 (8月)流通システム事業から撤退を発表。子会社のサンデン・リテールシステム(群馬県伊勢崎市)を10月1日付で投資ファンドのインテグラルに譲渡する

文:M&A Online編集部

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