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【サンデンHD】流通システム事業をファンドに売却し、自動車機器に集中

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4月新中計スタートも、状況認識に変化

「次の成長に向けて確実に再起を図る」。サンデンHDが4月にスタートした新中期経営計画「SCOPE2023」(5カ年)の旗印だ。その直前の決算で200億円を超える過去最大の最終赤字に転落したのを受け、出直しを期した。

カーエアコン用コンプレッサー(同社HPから)

新中計は最終年度の2024年3月期に売上高3200億円、営業利益率5%などを目標に掲げる。計画策定段階で、流通システム事業の売却については想定していなかった模様だが、その後の状況認識をさらに厳しくしたとみられるのが自動車機器事業を取り巻く市場環境の悪化だ。

2019年度に入り、米中貿易摩擦の激化やこれに伴う中国経済の鈍化、さらに世界的な自動車販売の減退が一層鮮明になっている。こうした中、主戦場のクルマにヒト、モノ、カネを集中し、「自動車機器の専業メーカー」として勝ち残る道を選んだ。

自動車機器事業と流通システム事業の売上規模がほぼ拮抗していた時期もあるが、前者は浮き沈みがありながらも右肩上がりで成長し、後者は下降線をたどり、今は3倍近い開きがある。

過去3年で200億円超の最終赤字が2度

サンデンHDの経営が暗転したのは2017年3月期だった。同社始まって以来という225億円の最終赤字に転落したのだ。欧州における自動車エアコンのカルテル行為で課徴金78億円を計上したほか、為替差損30億円が発生。希望退職者募集、旧東京本社ビル売却、国内製造子会社や米・欧・アジアの拠点再編に迫られ、構造改革費用も70億円以上に膨らんだ。

そして2年後の19年3月期は再び最終赤字231億円(前の期は43億円の黒字)に沈んだ。米国の対イラン経済制裁の影響で中東にある関連会社向け売上債権について貸倒引当金繰入額を約160億円計上し、これに住宅環境システム事業からの撤退費用なども加わった。

4月にスタートした新中計「SCOPE2023」は流通システム事業の切り離しを受け、内容の刷新が求められる。当然ながら、売上高は2000億円規模にダウンサイズすることになる。「再起」に向けて、新生サンデンの姿をどう提示するのか。株主、従業員、取引先、地域社会などすべてのステークホルダー(利害関係者)の関心がその一点に集まっている。

◎業績の推移(単位億円、△は赤字)

17/3期 18/3期 19/3期
売上高 2821 2876 2739
営業利益 16 55 9
最終利益 △225 43 △231

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