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引退後も利益を享受し会社を操った、ひらまつ創業者の影の支配力
アドバンテッジと提携したひらまつが創業者との軋轢に苦心しています。平松博利氏は業務委託報酬など12億4,500万円を支払うよう提訴。それに徹底抗戦する現経営陣は、平松氏が引退後も会社を私物化しようとした実態を明らかにしました。
メガネスーパーの歴史は古く、1980年にニュー湘南眼鏡(小田原市)とメガネスーパー(さいたま市)が合併して誕生しました。当時は高価だったメガネを割安で販売したことから人気となり、店舗を拡大します。しかし、2000年に入ってゾフ(港区)やジンズ<3046>などのスタイリッシュかつ低価格路線の新興勢力が人気化して、メガネスーパーの業績は低迷します。
アドバンテッジが投資をする前のメガネスーパーは5期連続の減収。4期連続の経常赤字となっていました。
■メガネスーパー(単体)業績推移(単位:百万円)
2007年4月期 | 2008年4月期 | 2009年4月期 | 2010年4月期 | 2011年4月期 | |
売上高 | 34,662 | 32,442 | 29,422 | 25,061 | 22,472 |
増減 | - | 93.6% | 90.7% | 85.2% | 89.7% |
経常利益 | 2,171 | △428 | △433 | △556 | △636 |
※有価証券報告書より筆者作成
2011年4月期に4億円の債務超過に陥りました。2012年にアドバンテッジパートナーズが20億円の出資をします。筆頭株主だった田中邦興氏が第4位の株主となり、アドバンテッジが上場を維持したまま経営の主導権を握りました。
アドバンテッジは2013年に星崎尚彦氏を社長に招聘します。星崎氏はスノーボードブランド「バートン」の日本法人代表を務めた人物。アドバンテッジとはアパレルメーカー「クレッジ」の再建でタッグを組んだ経験があります。
社長に就任した星崎氏は直営6店舗を旗艦店と位置づけ、自ら運営したといいます。徹底的な現場目線で改革を促そうとしたのです。星崎氏は道行く人に積極的に声をかけて呼び込みをかけるなど、地道な活動を開始。それが奏功して店舗の売上が改善します。現場感覚を身に着けて実績を残した星崎氏は、全国の店舗の問題点を洗い出して改善する活動に専念します。そうした努力が実を結び、メガネスーパーは2016年4月期に黒字化しました。
星崎氏は2014年に医療従事者とネットワークを組んでアイケア研究所を設立しました。低価格路線から脱するため、検査時間を多くとって手厚いケアに注力したのです。この路線変更が利益率を押し上げ、黒字体質になる原動力にもなりました。
2017年からはM&Aを積極化。1月にメガネハウス(富山市)、6月に経営危機に陥っていたシミズメガネ(大阪市)を子会社化しました。2019年には大塚メガネ(草津市)も買収しています。
メガネスーパーからビジョナリーホールディングス<9263>へと生まれ変わって3期連続の増収となり、業績は回復しました。
■ビジョナリーホールディングス業績推移(単位:百万円)
2018年4月期 | 2019年4月期 | 2020年4月期 | 2021年4月期(予想) | |
売上高 | 21,776 | 26,485 | 27,338 | 28,228 |
増減 | - | 121.6% | 103.2% | 103.3% |
経常利益 | 587 | 852 | △332 | △65 |
※有価証券報告書より筆者作成
2020年に入って新型コロナウイルスの影響を受け、利益が出にくくなりました。新たな難局をどのように乗り越えるのか、注目が集まります。
アドバンテッジと提携したひらまつが創業者との軋轢に苦心しています。平松博利氏は業務委託報酬など12億4,500万円を支払うよう提訴。それに徹底抗戦する現経営陣は、平松氏が引退後も会社を私物化しようとした実態を明らかにしました。