「本の街」神保町の風景が変わる…三省堂本店建て替え・岩波ホール閉館

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建て替えに伴い一時閉店する三省堂書店神保町本店(東京・神保町)

「本の街」東京・神保町の風景が変わろうとしている。ランドマーク的存在の三省堂書店神保町本店が建て替えに伴い5月8日をもって閉店する。街のもう一つの顔、ミニシアターの元祖とされる岩波ホールは7月末に営業を終了し、54年の歴史にピリオドを打つ。

三省堂本店、3~4年後に再オープンへ

「いったん、しおりを挟みます」。4月25日、駿河台下交差点に建つ三省堂書店神保町本店の正面壁面に、巨大なしおりがお目見えした。2週間後の閉店に向けてカウントダウンが始まったことを告げた。

本社を兼ねる本店ビルは地上8階建てで、1~6階に書店スペース、7階に事務所、8階に催事場が入る。隣接する第2、第3アネックスビルを含めて建て替え工事(敷地面積1745㎡)を進める。新社屋の完成予想図はまだ公表されていないが、2025~26年頃に再オープンを目指している。

現本店は1981年の創業100周年記念事業として誕生。建物設備の老朽化が進んだことから、昨年9月に建て替えを発表していた。徒歩数分のところに構える仮店舗は6月1日に営業開始の予定だ。

建て替えを待つ三省堂書店神保町本店

三省堂書店は1881(明治14)年、現在地で古書店としてスタート。その後、新刊書店に転換し、出版事業、印刷事業に進出した。現在、神保町本店をはじめ、首都圏を中心に北海道、愛知・岐阜県に24店舗を展開する。社名は中国の古典「論語」に由来し、「吾日三省吾身」(われ日にわが身を三省す)という言葉から採用された。

社名だけだと混同しやすいが、三省堂書店から出版・印刷部門を1915年に分離独立して設立したのが三省堂。国語辞典「大辞林」、英和辞典「デイリーコンサイス」などの辞書・事典で定評があるほか、小中高の教科書でもおなじみだ。

岩波ホール、「単館映画館」として約半世紀

靖国通りと白山通りが交わる神保町交差点。その一角に建つ岩波神保町ビルの10階に岩波ホールはある。座席数は200席ほど。

岩波ホールは1968年に多目的ホールとして開館した後、1974年に映画館として再出発した。旗印に掲げたのは世界の埋もれた名作映画の発掘・上映。1980年代のミニシアターブームを牽引した。岩波ホールでしか見られない単館映画館の道を一貫して歩み、これまで上映してきた作品は270本を超える。

しかし、採算が年々厳しくなっていたところに、コロナ禍が重なり、「劇場の運営が困難と判断した」として今年1月に、7月29日の営業終了を発表した。ミニシアターの熱例なファン層の高齢化で客足が次第に遠のいていたという事情もある。

現在上映中の作品「メイド・イン・バングラデシュ」(6月3日まで)

最終上映作品(6月4日~7月29日)として予定されるのは「歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡」(2019年、英国・スコットランド・フランス合作、85分)。英国人の紀行作家ブルース・チャトウィン(1940~89)が魅了されたパタゴニア・中央オーストラリアの先住民アボリジニの地などをたどるドキュメンタリー映画だ。

文:M&A Online編集部

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