朝日生命、体操事業からついに撤退|かつては大和銀・紀陽銀行も

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朝日生命体操クラブが拠点を置く(東京都世田谷区北烏山)

朝日生命保険が五輪選手ら数多くのトップ選手を輩出した体操事業から撤退する。2023年3月末をもって「朝日生命体操クラブ」への協賛を終了する。同クラブは男子個人総合で五輪2連覇の内村航平選手も高校時代に在籍した名門。クラブチームは日本体操界を支える存在だが、その浮沈はスポンサー企業の栄枯盛衰に左右されてきた歴史でもある。

「運営」から手を引いてすでに20年

朝日生命体操クラブの創設は1974年。女子の実業団体操チームとして発足し、その後、男子選手が加わった。1977年に児童・青少年を対象とする「朝日生命体操教室」をスタート。1979年には拠点となる朝日生命久我山体育館が東京・世田谷に完成した。一つの屋根の下で子どもから五輪選手までが一堂に会して練習に励んできたが、そうした光景がついに見納めとなるのだ。

朝日生命は4月末、半世紀近い体操事業への支援の終了を発表。「日本体操界における朝日生命体操クラブの役割も一段落したことや、当社が保有する朝日生命久我山体育館の老朽化など、総合的に判断した」としている。

半世紀近い歴史の幕を閉じる…朝日生命体操クラブ

ただ、朝日生命の決断自体にそれほどの驚きがあるわけではない。オーナーだった朝日生命が経営難でクラブチームの運営から手を引いたのは2002年。運営は「月面宙返り」で知られる五輪金メダリストの塚原光男氏が立ち上げた会社に引き継がれ、朝日生命は協賛の立場でクラブにかかわり、今年で20年の区切りを迎えていた。

アテネ五輪団体金の塚原直也選手ら過去25人の五輪日本代表選手を輩出しているが、近年は戦績が今一つ。昨夏の東京五輪には代表を送り出せなかったことも、撤退の背景にあったとみられる。

朝日生命は1990年代まで日本生命、第一生命、住友生命、明治生命(安田生命と合併し、現明治安田生命)に次ぐ業界5位で、生保大手8社の一角を占めた。しかし、バブル崩壊後の資産運用難で経営危機に陥り、業界再編にも乗り遅れて、大手から脱落。社会人チームのバレーボール部、硬式野球部、テニス部を相次ぎ休部した際、協賛の形で支援を活動を継続してきたのが体操だった。

大和銀・紀陽銀の体操部、その後は?

むろん、体操界でバブル崩壊が直撃したのは朝日生命だけではなかった。当時、朝日生命と並ぶ名門が大和銀行(現りそなホールディングス)、紀陽銀行、河合楽器製作所。和歌山県の地銀、紀陽銀行はロサンゼルス五輪鉄棒金の森末慎二選手らの活躍で知られた。

だが、大和、紀陽は不良債権問題で銀行の屋台骨が揺らぐ中で、体操部を維持することは到底かなわず、1990年代の終わりに休部。河合楽器は2001年に休部したが、同社体操部には塚原光男氏が現役時代に在籍した。

現在、体操界を牽引するクラブチームといえば、徳洲会体操クラブ(徳洲会を中心とする医療グループの傘下)、コナミスポーツ、セントラルスポーツの3強。

徳洲会体操クラブは1998年に紀陽銀行から、コナミスポーツの体操競技部は2003年に大和銀行からそれぞれ体操部を引き継いで創設された。コナミはレジェンド・内村航平選手がコナミに大学卒業後、長らく所属し、一時代を築いた。

セントラルスポーツは2016年に体操競技部を発足。創部から日が浅いが、東京五輪男子団体銀の萱和磨、谷川航の両選手を擁する。同じく団体銀の北園丈琉選手は徳洲会体操クラブのホープとして期待を集めている。

文:M&A Online編集部

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