経営統合阻止よりも優先すべき課題がある

3月合意は、ルノーが日産の会長職を諦めるかわりにアライアンス・オペレーティング・ボードで主導権を握る「妥協」とも受け取られた。が、ホールディングス(持ち株会社)の前身といえるアライアンス・オペレーティング・ボードのトップポストと、将来は子会社となる日産の会長ポスト、どちらが重要なのかは言うまでもないだろう。

そもそも日産がこだわる「独立性」にしても、それが同社の成長につながるかどうかについて明確な説明はない。ただ日産が「ルノーから独立したい」と主張しているだけだ。ルノーからの会長派遣阻止という形式にこだわるあまり、持ち株会社に移行する可能性が高い組織の主導権をあっさり奪われる「失態」を招いたともいえる

事実、ルノーが日産に経営統合を再び突きつけたのは同4月中旬と伝えられており、4月12日に開いた初回のアライアンス・オペレーティング・ボードで議題になった可能性が高い。そのためか同日予定されていた記者会見も中止になっている。

ルノーは新組織の発足と同時に牙をむいたことになるが、これも「計算のうち」だろう。日産は「名(メンツ)」を取り、ルノーは「実」を取ったことが、今回の経営統合の「強要」につながったとしたら日産の判断ミスは致命的だ。

自社の企業価値向上よりも独立というメンツを優先している限り、日産に勝ち目はないだろう。2019年6月に開催予定の定時株主総会で株主から独立に支持を得られるかどうかも、日産が説得力ある自主的な成長戦略を示せるかどうかにかかっている。ルノーとの経営統合阻止に右往左往するよりも、優先すべきはそちらだろう。

定時株主総会で支持を得るためにも、説得力ある成長戦略を提示すべきだ(日産ホームページより)

文:M&A online編集部