「米国が韓国に圧力をかければ、容易に折れる」という期待も、そう何度も叶いそうにない。同11月9日の米韓防衛相会談では米軍の駐留費用の負担増要求を一蹴しており、日本ほど米国の圧力は効かないようだ。
韓国がGSOMIAに踏み止まったのは、米国からの圧力と同時に韓国の半導体産業が日本の輸出管理強化で打撃を受けているから。日本の輸出管理が長期間にわたって緩和されない、あるいは自国で日本からの輸入部材の内製化が可能になれば、韓国がGSOMIAにこだわる理由はなくなる。
日本経済にも悪影響が出てきた。フッ素化合物大手のステラケミファ<4109>が同11月8日に発表した2019年9月中間連結決算は、輸出管理強化で韓国向けの販売が落ちたため、純利益が6億3000万円と前年同期比58%減に。
西日本を中心に観光産業も韓国人観光客の激減で打撃を受けている。この問題が長期化すれば、倒産や廃業、M&Aによる再編を招くことになりそうだ。
韓国でカジュアル衣料量販店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングをはじめ、不買運動の影響も広がる。規模は大きくないが韓国向けの同9月の国産ビールの輸出額が58万円と、前月比で98.8%も減少した。
いずれにせよ日韓の外交的な対立が長期化すれば、エスパー長官の発言通り「北朝鮮と中国が利益を得るだけ」だ。外交はもちろん、経済も同じ。一刻も早い関係改善が日韓両国はもとより、同盟国である米国の利益になり、ひいては極東アジアの安定にもつながる。
政府高官や閣僚、与党議員の不用意な発言で、ようやく動き出した日韓交渉が再び膠着する事態は避けるべきだろう。「勝どき」をあげるのは、すべての決着がついてからでも遅くない。
文:M&A Online編集部
韓国で大きな騒ぎとなっている、日本による韓国のホワイト国外しが8月28日に実施される。韓国経済に与える影響は大きくはないといわれているが、一体ホワイト国とはどのようなものなのか。