LVMHがティファニーへ買収提案 仲介はブルガリ？

米高級宝飾大手のティファニー（Tiffany）は10月28日、仏LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン（LVMH）から1株120ドル、およそ145億ドル（約1兆5800億円）規模の買収提案を受けたと公表した。ニューヨーク証券取引所の終値（28日）は129.72ドルと前週末比から31.63％も急騰し、130ドルに迫る勢い。すでにLVMHの買収提案額1株120ドルを超えている。

ティファニーの現CEOアレッサンドラ・ボリオーロ（Alessandro Bogliolo）氏は、ブルガリに16年間在籍し、また取締役にはブルガリ創業家のフランチェスコ・トラパニ（Francesco Trapani）氏が名を連ねている。

今回のLVMHによるティファ二―買収には、2011年にLVMHが買収したブルガリ人脈が大いに関わっていると思われる。

一代でブランド帝国を築いたアルノ―氏

LVMHの会長を務めるベルナール・アルノー氏は先日、2019年の長者番付でマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏を抜き、世界第2位の富豪（推定資産は約11兆3700億円）になったと報じられたばかり。

アルノ―氏は1949年仏ルーベ生まれ。父が経営する建設会社を引き継ぐと、ラグジュアリーブランド市場の将来性にいち早く目をつけ、1984年に瀕死のクリスチャン・ディオールを買収し見事立て直しに成功。この1件をきっかけに、ラグジュアリーブランド（企業）を相次いで買収し、売上高5兆円を超えるコングロマリットを一代で築いた。

アルノ―氏はかつて「ファミリービジネス（家業経営）」だったブランドビジネスに「ポートフォリオ経営」の手法を持ち込んだ。旬のブランドを売買（入れ替え）する一方で、歴史あるブランドの大半は長く保持している。

LVMHの2018年12月通期決算は、売上高468億ユーロ（約5兆8032億円）、営業利益98億7700万ユーロ（約1兆2247億円）、純利益69億9000万ユーロ（約8667億円）。直近の2019年7～9月期決算の売上高は、前年同期比17.0％増の133億1600万ユーロ（約1兆5579億円）と業績好調だ。

同社は現在、「ワイン＆スピリッツ」「ファッション＆レザーグッズ」「パフューム＆コスメティクス」「ウォッチ＆ジュエリー」「セレクティブリテーリング」「その他」の６つの分野で75の著名なメゾンブランドを擁している。

アルノ―氏はワインコレクターとしても知られ、近年は歴史のあるワイナリーの買収が目立つ。

〇LVMHグループの主な買収と歴史

参考URL　TIFFANY＆Co. 公式サイト、LVMH公式サイト

文・表ともにM＆A Online編集部作成